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2006/01/11
90 TOOLS FOR SOBRIETY
ソブラエティのための道具 90
30) 他の人や、他の人との病的な関係に依存しないようにしなさい。
Try not to be dependent on another (sick relationships).
「幼い頃から、周囲にいる人間すべてを、審判団のように感じていました」
AAミーティングでそう発言した人の言葉を、僕はうなずきながら聞いていました。
授業態度、家の手伝い、友達関係、見るテレビ番組、読む本、ゴミの捨て方、金の使い方。朝起きてから、夜寝るまでの行動すべてが、他の人の目にどう映っているか、僕には神経症的に気になってしかたありませんでした。
僕の行動が「合格」であれば人々は満足げにうなずくか、さもそれが当然のようなそしらぬ顔をするのでした。そして「不合格」であれば、人々は咳払いをしたり、ため息をついたり、あらぬ方向へ顔をそむけてしまうのでした。世の中の人は、「自分は無条件で愛されるに値する人間なんだ」ということを、無意識のうちに感じているようであります。
しかし、僕は自分の行動がいつも「合格」でなければ、周囲の人々に受け入れてもらえない無価値な人間であるという考えを抱いたまま大人になってしまいました。
それは、親の育て方が問題であったのだと言う人もいましたが、僕には本当の理由はわかりません。ともかく確かなことは、僕はとても生きづらい生き方を生きていたということであります。そして、それは僕がAAのドアをくぐってミーティングにたどり着いたときも変わってはいませんでした。
AAの人たちは、僕がミーティング場のドアをくぐって顔を出すたびに笑顔で迎え入れてくれました。ミーティングで話す順番が来ると、僕の話を「うんうん」とうなずきながら聞いてくれました。僕は「受け入れられている」と感じ、ミーティングの帰りにはなんだか心が軽くなっているのを感じました。
だが、良いことばかりは続きませんでした。以前だったらうなずいてくれた僕の話のくだりに、誰もうなずいてくれなくなくなりました。僕の話す順番になると、たばこを吸いに外に出て行ってしまう人もいました。僕は「どんな話だったら、もっと皆に受け入れてもらえるだろう」と一生懸命考え、僕の話はどんどん偏っていくようになりました。そして、ミーティングの帰りにも、ちっとも心が軽くならなくなってしまいました。
僕は、僕を肯定的にとらえてくれる人間関係にしがみつくことで、自分を救おうとしていたのでした。ある時、そんな僕の姿を見かねたAAメンバーが声をかけてくれました。
「つらそうだね。AAに来てまでよい子を演じる必要はないよ。良い話をする必要もないし、良いAAメンバーになろうとする必要もない。必要なのは酒を止めたいという願いと、自分に正直になることなんだから」
それからの僕は、自分に正直になれたのかはわかりませんが、何よりも自分自身を第一の聞き手として話をするようになりました。なんと言っても自分自身のためのミーティングなのですから。
いつも僕のことを肯定的にとらえてくれる人間関係なんて、ありっこないことは分かっているのです。でもどこかにそんな人間関係があるんじゃないかという幻想を捨て切れません。一生懸命に安心を求めてしがみつけば、相手はいつかは僕にうんざりして見捨てて去っていってしまいます。自分で自分のことを尊敬できない人のことを、人は尊敬したりしないものです。
それに結局のところ、人生はギブ・アンド・テイクなんだとAAの本にも書かれていました。見捨てられて自己憐憫の海で溺れたくなければ、自分の足で立って歩けということでありましょうか。特にロマンスの香りのするときには要注意であります。