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軽度・中度のうつ病患者に抗うつ剤は不要、英研究結果

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軽度・中度のうつ病患者に抗うつ剤は不要、英研究結果
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2356414/2684300

【2月27日 AFP】全世界で数千万人が服用するプロザック(Prozac)をはじめとする抗うつ剤が多くの場合、偽薬程度の効能しかもたらさないことを英国の研究チームが明らかにした。

 米研究家グループ「Public Library of Science(PLoS)」発行の医学誌「PLoS Medicine」に26日、研究成果が掲載された。

 英国北東部、ハル大学(University of Hull)のアーヴィング・キルシュ(Irving Kirsch)教授率いる研究チームは、米国の情報公開法に基づいて公開された47の治験データを分析。分析結果を利用し、軽度から中度のうつ症状を呈する患者に抗うつ剤を処方すべきかどうかに焦点を当てて研究を進めた。

 その結果、「偽薬を飲んだ患者と本物の抗うつ剤を飲んだ患者で、症状の改善度に大きな違いはみられなかった。つまりうつ病患者に化学治療は必要ないということだ。研究結果から、その他の治療法で効果が得られなかった場合を除き、軽度から中度のうつ病患者に抗うつ剤を処方する理由はほとんどないと考えられる」とキルシュ教授は結論づけている。

 よりよい精神衛生を目指す慈善団体「マインド(Mind)」のアリソン・コブ(Alison Cobb)氏はキルシュ教授らの発見について、抗うつ剤投与という現代主流の治療法に「真っ向から意義を唱えるもの」と歓迎した。

 コブ氏は「たしかに抗うつ剤でよくなる患者もたくさんいます。でもすべての患者に効くわけでは決してありません。中には、ひどい副作用に苦しむ人もいるのです」と指摘。さらに、「英国では一般開業医の10人に9人が、やむを得ず抗うつ剤を処方しています。軽度から中度のうつ病には、まずは認知行動療法のようないわゆる対話型の治療法を行うべきなのですが、彼らにはその種の治療を適切に実施することができないのです」と厳しい現状を明かした。

 一方、抗うつ剤「セロクサット(Seroxat)」の製造元であるグラクソ・スミスクライン(GlaxoSmithKline)の広報担当はキルシュ教授らの研究について、抗うつ剤投与による「極めて望ましい効能」を無視していると反論。「(研究結果は)実際の臨床治療の結果と食い違っている」として、慎重な対応を求めた。(c)AFP/Katherine Haddon
Initial Severity and Antidepressant Benefits: A Meta-Analysis of Data Submitted to the Food and Drug Administration
http://www.plosmedicine.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pmed.0050045

抗うつ剤の効果が小さいことは他でも示されています。
日本では近年うつの治療を受ける人が増加しましたが、その多くは不要な薬を飲んでいるという指摘もあります(薬が不要だからと言って治療が不要なわけではないので念のため)。

抗うつ剤の副作用によって脱抑制的になり、それが自殺や自傷行為に発展するリスクは、抗うつ剤の治療効果のベネフィットより大きい(つまり飲まない方が良い)と考える人もいます(とりわけSSRIについて)。
これについては、未成年に限れば
自殺(企図)は上昇しないというデータも示されています。

青少年への抗うつ薬の効果は自殺リスクを上回る
http://shinagawa-lunch.blog.so-net.ne.jp/2009-09-15-2

参考
社会実情データ図録:うつ病・躁うつ病の総患者数
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2150.html

Dr.KOBAの身もふたもない話
認知行動療法は本当に効くのか?
http://blogs.yahoo.co.jp/psykoba/34023443.html
うつ病治療における「ホーソーン効果」とは?
http://blogs.yahoo.co.jp/psykoba/34023634.html

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