ヤマアラシのジレンマ

Das Dilemma der Stachelschweine - 「心の家路」のブログ

自殺原因三題

自殺に関する調査報告のニュースがいくつか報じられています。おそらく自殺予防総合対策センターが、心理学的剖検という手法を使って自殺の原因分析をやっている研究の、今年度のまとめが発表されたのでしょう。
(記事内の太字は筆者)。

まず自殺と処方乱用の関係。

自殺:半数が処方薬乱用 指示従わず
http://mainichi.jp/life/health/news/20100317k0000m040083000c.html魚拓

 国立精神・神経センターの加我牧子医師らの研究グループが行った自殺実態調査で、生前に精神科などを受診していた自殺者の半数が医師から処方された向精神薬を過量摂取していたことが分かった。グループの松本俊彦医師は「自殺予防のためには処方薬の乱用を防ぐことが急務。精神科医師の質の向上も必要」と指摘している。

 調査対象は08年1月~09年12月の自殺者のうち遺族が調査に応じた76例。死亡前1年間に精神科か心療内科の受診歴があった人は半数の38人だった。うち若年者(39歳以下)が25人(65.8%)を占めた。死亡時に向精神薬を医師の指示より多く服用した人が19人いた。過量摂取者が服用していた薬(複数回答)は▽睡眠薬15人▽抗うつ薬8人▽抗精神病薬7人▽安定剤6人。

 埼玉県立精神医療センターの成瀬暢也副病院長は「向精神薬は癖になりやすく、乱用すると量が増える。追加処方には応じない、薬を家族に管理してもらうなど、医師側の対応が必須だ」と話している。【和田明美】

次に、自殺と睡眠障害、自殺と問題飲酒の関係

睡眠障害、自殺危険は28倍...厚労省調査
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=22254魚拓

 睡眠障害飲酒行動に問題がある人は、自殺する危険性が通常よりそれぞれ28倍3倍高いことが、厚生労働省研究班(研究代表者=加我牧子・国立精神・神経センター精神保健研究所長)の調査で明らかになった。

 研究班は2007年12月~09年12月、自殺した76人(15~78歳)の生前の様子について、遺族から聞き取り調査を実施(複数回答)。うち49人について、一般人145人と比較検討した。

 その結果、睡眠障害などのほか、うつ病などの気分障害は通常より6倍死に関する発言をした人は同4倍不注意や無謀な行為のあった人は同35倍も自殺の危険性が高かった。

 国内での年間自殺者は、1998年以来12年連続で3万人を超えている。データ分析にあたった松本俊彦・同研究所室長は「自殺のサインを見逃さないよう国民への啓発活動が必要。かかりつけ医の診断能力の向上も求められる」と指摘している。
(2010年3月17日 読売新聞)

そして、自殺と身近な人の自殺

自殺者の7割、身近な人の自殺・未遂を経験 厚労省調査
http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY201003170126.html魚拓

 自殺した人では身近に自殺を図った人がいたり、幼い時に両親から暴力を受けたりした割合が高い傾向にあることが16日、厚生労働省の研究班の調査結果でわかった。自殺者の遺族らから聞き取り調査し、分析した。研究班は、遺族らの相談支援体制の充実や幼少期の被害体験への対策の大切さを指摘している。

 調査は、国立精神・神経センター精神保健研究所などが中心となり、2007年度から3年間実施された。76人の自殺者のケースを分析。このうち成人の49人のケースでは性別や年齢層などが一致する一般の人を別に選び、自殺者との違いを比較した。

 それによると、自殺者の71.1%は家族や友人ら身近な人が、未遂も含めて自殺を図っており、一般の人(21.1%)の3倍以上だった。また、自殺者の18.6%(一般は4.7%)が幼い時に両親から暴力を受けたり、無視されたりしていたという。

 自殺者の直前の状況を見ると、身だしなみを気にしなくなったり、死について口にしたりする割合が高くなっており、こうした兆候に事前に気づくことの大切さも示されている。(中村靖三郎)

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