疫学批評:知能指数が低いほど、自殺未遂のリスク上昇。

知能指数が低いほど、自殺未遂のリスク上昇。
http://blog.livedoor.jp/ytsubono/archives/51819130.html魚拓



スウェーデンの若年男子1,109,475人(平均18.3歳)に対して徴兵検査の際に知能指数を測定し、平均24.2年間追跡したところ、9グループに分けた知能指数が低くなるほど自殺未遂による入院(17,736人、1.6%)のリスクが段階的に高くなり、最低群では最高群より6.4倍高かった。論文はBritish Medical Journal 電子版に2010年6月3日掲載された。

対象者のうち12,328人が、追跡期間中に統合失調症や躁うつ病を中心とする精神疾患と診断された。このうち1.607人(13.0%)が自殺未遂で入院したが、知能指数が低くても自殺未遂のリスクが高くなることはなかった。

著者らによると、今回の研究は同様のテーマでの最大の先行研究より、7倍以上規模が大きい。また、精神疾患のある対象者では知能指数と自殺未遂のリスクが関係しないという結果は、新しい知見だという。

知能指数の低いグループの自殺未遂リスクが高い理由について、社会経済状態や収入が低いことや、多量飲酒などの自殺につながる生活習慣は、分析の中で考慮されているので、これらの要因では一部しか説明できないと著者らは考察している。

他の理由として、知能指数の低いグループでは、ストレスのある状況や心に傷をもたらすような状況への対処能力が低いことや、小児期に暴力を受けたり目撃したりという逆境経験があると、一方で知能指数が低下し、他方で自殺未遂のリスクが上昇する可能性などを挙げて考察している。

その上で、知能指数の低さと自殺未遂による入院リスクの高さの関係の基礎にあるメカニズムをより良く理解することが、自殺予防の方策と機会をもたらす可能性があると結論している。

⇒知能指数の低さという社会的に不利な状況に置かれた青年で、その後の自殺未遂というカタストロフのリスクが高まることを、100万人を越える集団の四半世紀近い追跡によって示した重要なデータ。

社会保障の進んだスウェーデンでさえ、知能指数の低さという社会的不利が自殺未遂リスクの高さに結びつくのだとしたら、社会保障がより遅れた日本では、両者の関係はより強いものになるのではないだろうか。

論文要旨

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