こころを救う:専門医と連携、G-Pネット 過量服薬で救急搬送、一般医処方が1割超

こころを救う:専門医と連携、G-Pネット 過量服薬で救急搬送、一般医処方が1割超
http://mainichi.jp/select/wadai/kokoro/archive/news/2010/08/20100820ddm041040105000c.html魚拓

 ◇神戸で新システム

 自殺リスクが高い患者の適切な治療に結び付けようと、神戸市医師会は今年7月、内科などのかかりつけ医と精神科医が連携して治療にあたる「神戸G-Pネット」を作った。市内の病院が向精神薬などの過量服薬で救急搬送された患者を調査したところ、精神科以外の一般科で薬を処方されたケースが1割を超えており、調査担当者は「一般医がうつ病を診る機会が増える一方、適切な診断や投薬ができないこともある」として、ネットで医師間の協力が進むことを期待する。【堀智行】

 G-Pネットは、一般医と精神科医を示す英語の頭文字から命名された。いくつかの地域で誕生し、自殺対策の先駆的取り組みとして注目されている。

 過量服薬で救急搬送された患者の調査を行ったのは神戸市立医療センター西市民病院。04~06年の273件(194人)を調べたところ、市販薬を大量服薬するなどしていたケースを除き、医療機関からの処方は229件で、うち201件(88%)は精神科医、28件(12%)は内科、外科など他科で処方されていた。

 「眠れてますか」。神戸市北区にある近藤内科クリニックの近藤誠宏院長(55)は患者の精神疾患を疑うと必ず、こう確認している。「疲れる」「食欲がない」。うつ病患者は、体の不調を訴えることが多いため、症状を見極めるには睡眠状態が一つの指標となる。

 近藤院長は投薬しても改善しないなど症状が重い場合、知り合いの精神科医に紹介してきた。だが予約が数カ月待ちのところもあり、市外の精神科医に頼むこともあった。多くの一般医が同じ悩みを抱えている。精神科医への紹介をスムーズにするため、近藤院長ら同市医師会理事が中心となり「神戸G-Pネット」設立の準備を進めた。

 同ネットは一般科で精神疾患も治療する市内の開業医142人の患者の中に重い症状が出ると、患者情報を集約するセンター(専門病院)に連絡。センターが精神科診療所や専門病院を紹介する。精神科医からは「これ以上患者が増えては困る」と慎重な意見もあったが、11診療所と9専門病院の協力を得て今年7月に運用を始めた。

 紹介を受けた医療機関は診察後、病状を元の開業医とセンターに報告し、今後の治療にも役立てる。受診しない患者がいればすぐに確認できる。

 過量服薬の患者調査とG-Pネット設立にかかわった西市民病院の見野耕一精神神経科部長(52)は「軽い患者を一般医が診察し、重ければ精神科医が診るという役割分担が進むことにつながる」と話す。経済的困窮など自殺の原因が多岐にわたる中、ネットと司法書士会などとの連携も視野に入れている。

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