少量から中等量の飲酒で、重度の認知機能低下のリスク低下なし。

少量から中等量の飲酒で、重度の認知機能低下のリスク低下なし。
http://blog.livedoor.jp/ytsubono/archives/51847511.html魚拓

著者らによると、先行研究の一部では、少量から中等量の飲酒による認知症や認知機能の低下を認めている。しかしこれらの研究の大半では、非飲酒者と過去飲酒者を区別せずに「非飲酒者」とし、このグループを基準群として、少量から中等量の飲酒のリスクを比べ、リスク低下を認めている。

しかし、過去飲酒者は病気や障害が原因で飲酒を止めた高リスク群が含まれているため、過去飲酒者を非飲酒者と区別せずに基準群とすることで、少量から中等量の飲酒のリスク低下を過大評価している可能性がある。実際、著者らのデータでも、過去飲酒者と非飲酒者をまとめて基準群とすると、男性の中等量飲酒者(一日24-40g)で誤差範囲を超えるリスクの低下を認めたという。

⇒少量から中等量の飲酒の影響を調べる際に、非飲酒者と過去飲酒者を区別して非飲酒者を基準群とすることの重要性を指摘した研究。

飲酒量と死亡率の相関関係をグラフにすると、「適量飲酒をしている者が最も死亡率が低い」という結果が出ます。グラフがJの字型になるのでJカーブ効果と呼ばれます。(Jカーブ効果は経済用語でもあるので、検索するときは「Jカーブ効果+飲酒」で)。

これによれば、禁酒は体に悪く、酒は少々たしなんだ方が健康に良い、ということになります。これは酒類業界にとっても、また税収を期待する政府にとっても都合の良い話です。

そもそもこの話は、アメリカで1993年に発表された結果が元になっているのですが、その研究では非飲酒群について、元から酒を飲まない人(非飲酒者)と、過去には酒を飲んでいたが酒をやめた人(過去飲酒者)が混ざっていました。過去飲酒者は(アルコール依存症とは限らないが)何らかの健康上の理由があって酒をやめた人たちで、死亡率を押し上げる要因となります。このため、その後あちこちで追試が行われています。

この研究では、過去飲酒者と非飲酒者を区別して評価した場合と、区別しない場合とで違った結果を導いています。つまりJカーブ効果を否定しています。

この問題については継続的に関心を持っていますが、僕の知る限り最近の研究結果ではJカーブ効果を否定する結果もあり、肯定する結果もありです。Jカーブ効果が否定されてしまうと、酒造業がたばこ産業と同じ立場に立たされてしまう危機感もあると思われます。

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