農作業で薬物依存からの脱却

農作業で薬物依存からの脱却に道筋 栃木ダルク プログラム開始から半年、施設拡大へ
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/top/news/20101116/415772魚拓

 薬物依存症などの回復を支援する宇都宮市のNPO法人「栃木ダルク」(栗坪千明代表)が、農業を通じ社会復帰を目指す施設「那珂川コミュニティーファーム(CF)」を那珂川町に開設してから半年。利用者に心の安定をもたらし、栽培する野菜も流通し始めるなど順調に進んでいる。今後は農産物加工所の開設や農地拡大を予定、新たな取り組みは軌道に乗り出した。

 CFは、農業を作業療法的に取り入れ、充実感や安定感を取り戻すとともに、就農を視野に入れたプログラム。就労が難しい中高年や、入寮が増えている発達障害のあるメンバーが対象で、現在5人が利用する。ダルクを支援する農業星一明さん(45)の敷地内で運営し、今年は田畑計60アールでコメや十数種の野菜を手掛けた。

 10月初旬。稲は黄金色に輝いていた。「稲刈り機が入れるよう田んぼの四隅の稲、どんどん刈って」。CF責任者の柴田隆治さん(49)が声を張り上げる。メンバーはかまを手に黙々と作業をこなした。「今年は試行錯誤。でも、野菜の販売も始まったし、来年はきちんと生産調整しないと」。アルコール依存症から回復した元トラック運転手の柴田さんは、すっかり就農者の顔になっていた。

 「柴田さんは責任感が強くなり、周りにも目を配れる」と星さん。対人関係が苦手だったプログラムリーダーの夢川義和さん(42)も、意見や冗談が自然と出るようになった。栗坪代表は「農業は成果が目に見え、日々の充実感が心に安定をもたらす。この安定感が想像以上に良かった」と半年を振り返る。

 開設当初は地域から不安の声も聞かれたというが、今は小学校で草むしりを手伝ったり、地域でアルコール依存症の啓発活動を行うなど、徐々にとけ込んできた。

 こうした経過を踏まえ、来年は施設の拡大を予定。近隣の休耕田3千平方メートルと畑60平方メートルを新たに借りるほか、同町内にある利用者の住まいも2Kのアパートから4LDKの一軒家に移し、最大12人の利用を見据える。加工所開設に向けては、柴田さんと夢川さんが食品衛生責任者の資格を取得。栗坪代表は「(二人を)就農へのモデルケースに、人手不足の農業の労働力につながれば」と期待を込める。

 ただ、一方で、発達障害のあるメンバーは、種まきから収穫と、一連の作業を通じて感動や達成感が得にくいという課題が浮かんだ。今後は作業適性を見極めながら役割を組み立て、プログラムを進めていくという。

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