依存症のリハビリ 孤独なくす環境を

依存症のリハビリ 孤独なくす環境を
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20101220/CK2010122002000079.html魚拓

2010年12月20日
◆栃木DARC代表 栗坪 千明

 自殺予防総合対策センター(東京)の松本俊彦副センター長による講演「依存症と自殺予防」を、真岡市で拝聴した。タイトル通り、私たち依存症のリハビリに携わる者にはとても興味深い内容だった。

 中でも、薬物使用者(アルコールを含む)の16・7%が死にたいと思い、同率の人が実際に自殺を試みているというデータ、アルコール依存症者の28%、覚せい剤依存症者の50%、向精神薬依存症者の55%が自殺傾向が高いというデータは、私たちにとって見過ごせない事実である。

 施設利用者を見ていると、薬をやめた後に「死にたい」という自殺念慮が断続的に起きているように感じる。薬を使っていたときには気付かなかった本人や周りの人にとっての不利益な現実に、やめた後に直面する。それによって起こる失望感や罪悪感、苦痛を伴う身体的、精神的後遺症に悩んで死を考えるようになるのだと思われる。

 利用者のそんな悩みを聞いていると、変な話だが、薬を使ってもいいから生きてほしいと思う。これは私たちだけでなく、薬物依存症に携わる関係者全員の共通したこころもちである。この辺に薬物依存症の複雑怪奇な側面を見て取れる。

 講演の終盤、生死を分かつ一つの要因として、自分のことを理解してくれる人が周りにいるかいないかが大きく左右するという話があった。私たちに何ができるのだろうかと考える。もちろん、回復プログラムやシステムを効果的なものにしていくことは重要ではあるが、リハビリ中に同じ苦しみを持つ仲間が常にいるというDARCでは当たり前の環境でも、精神的に孤独にならない居場所づくりを心掛けることも私たちの重要な役割である。

 私たちは死に直結する危険な病の回復に関わっているのだと、あらためて気付かされた講演だった。

月別 アーカイブ

Powered by Movable Type 5.2.10