多量飲酒、周囲の人の健康にも影響

多量飲酒、周囲の人の健康にも影響
https://aspara.asahi.com/blog/medicalreport/entry/xghsIsukgG

坪野吉孝 《山形さくら町病院精神科・早稲田大学大学院客員教授》

多量飲酒者は本人の健康を害する場合があるが、周囲の人達の健康にも悪影響を与える可能性があるという論文が、アディクション誌に1月公表された。

ニュージーランド全土から無作為に選んだ12~80歳の男女3,068人に電話調査を行ない、自分の周囲に多量飲酒者がいるかをたずねたほか、本人の健康度と生活の満足度を質問した。多量飲酒者が1人以上いると答えたのは対象者の29%で、うち26%が同じ世帯で暮らしていた(配偶者や父母兄弟など)。

周囲の多量飲酒者の人数と同居時間から、多量飲酒者との同居の程度を「レベル0」から「レベル3」までの4グループに分けた。最小群(レベル0)は多量飲酒者との同居なし、最大群(レベル3)は1人以上の多量飲酒者と半日以上同居している状態だった。

その結果、最小群と比べると、最大群では「健康度」が16%低く、痛み、不快感、不安、うつなどをより多く感じていた。また「本人の生活の満足度」は4%低くなっていた。

最小群と比較した最大群の「健康度」の低下の大きさは、障害者を介護している人の低下と同程度であり、「生活の満足度」の低下は、難病患者を介護している人の低下と同程度だったという。

多量飲酒者との同居の程度別に見た「生活の満足度」と「健康度」
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著者らによると、多量飲酒の他者への影響のうち、交通事故や胎児への影響のようにはっきりしたものについては調べられている。だが、「健康度」や「生活の満足度」のように、より主観的な影響を数値で表す研究が行なわれるようになったのは最近という。

たばこ対策の場合には、本人への健康被害と、受動喫煙による他者への健康被害を併せて考えることが一般的だ。同様に、多量飲酒が本人への健康被害に留まらず、他者の健康にも悪影響を与えることが今後の研究ではっきりすれば、アルコール対策でも両者を併せて考えることが必要になるだろうと、著者らは結論している。

多量飲酒者が周囲の健康に及ぼす影響が小さくない可能性を示した点で、重要な研究だろう。

参考リンク
 今回の記事で紹介された論文
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1360-0443.2011.03361.x/abstract

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