ヤマアラシのジレンマ

Das Dilemma der Stachelschweine - 「心の家路」のブログ

大塚製薬とルンドベック社 減酒薬「nalmefene」(ナルメフェン)の日本における共同開発・商業化を合意

大塚製薬とルンドベック社 減酒薬「nalmefene」(ナルメフェン)の日本における共同開発・商業化を合意 ~『お酒と上手に付き合う』新しい治療コンセプトの提案~
http://www.otsuka.co.jp/company/release/2013/1031_01.html魚拓

大塚製薬株式会社
2013年10月31日

  • 精神疾患の中でも、アルコール依存症は自身の健康を損なうだけでなく、社会的・経済的な影響が大きいとされ、対応が急がれている。現在、日本では治療が必要なアルコール依存症患者さんは約80万人いると推計され※1、アルコールに起因する医療費や労働・雇用に関する損失は1年間で総額4兆円と推定※2
  • アルコール依存症の主たる治療は入院や抗酒薬を用いた「断酒」だが、その治療ゴールの高さが障壁となり継続が困難。「減酒」という新しいコンセプトを持つ「nalmefene(一般名)」(ナルメフェン※3)は、社会復帰を目指す患者さんにとっても継続可能な新たな治療選択肢として期待される
  • この度の契約は、大塚製薬とルンドベック社の統合失調症やアルツハイマー病などのグローバル中枢薬事業(2011年11月締結)に加えて、新たな事業提携となる。大塚製薬は、契約一時金として50百万ユーロ(約65億円※4)をルンドベック社に支払う

大塚製薬株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:岩本太郎、以下「大塚製薬」)とH. ルンドベックA/S(本社:デンマーク、コペンハーゲン、CEO:ウルフ・ウインバーグ、以下「ルンドベック社」)は、アルコール依存症における減酒薬として「nalmefene」(ナルメフェン※3)を日本で共同開発・商業化することについて本日合意しました。

日本では、社会情勢の変化や高齢化により、うつ病やアルツハイマー病などの精神疾患の患者数はますます増加傾向にあり、その対応が急がれています。中でも、アルコール依存症は自身の健康を損なうだけでなく、社会的・経済的な影響が大きいとされ、直接的な医療コストは1兆円、労働や雇用の損失によるコストは3兆円、総計で年間4兆円に達すると言われています※2。

アルコール依存症でとりわけ問題になるのは、疾患に対する正しい認識の不足や限られた治療選択肢のために、社会復帰への道が閉ざされてしまっていることです。現在、国内には約80万人の治療が必要なアルコール依存症患者さんが存在すると推計されていますが、実際に治療を受けているのは約4万人に過ぎません。これまでの、入院による断酒や抗酒剤の使用以外の治療方法を選択できることによって、治療へのアクセスやアドヒアランスを向上させることが期待できます。

「nalmefene」(ナルメフェン※3)は、飲酒要求時に服用することで、中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体を拮抗し、飲酒欲求を抑制する初めての頓用薬としてルンドベック社が開発を進めてきました。『お酒と上手に付き合う』という考え方のもと、減酒を目的とした頓用薬「nalmefene」(ナルメフェン※3)は、社会復帰を目指す患者さんにとっても継続可能な新たな治療の選択肢として期待されています。なお、欧州では「SelincroⓇ」(セリンクロ*3)の製品名で2013年4月から販売されています。

現在、国内では「健康日本21」への取り組みや、「アルコール健康障害対策基本法」の早期成立を目指すことで、多量飲酒者を減少させ、節度ある適度な飲酒を促す動きがあります。「nalmefene」(ナルメフェン※3)は、これらの取り組みに貢献できると考えています。

大塚製薬の代表取締役社長の岩本太郎は、今回の新たな合意について「アルコール摂取が依存的となり止められないことによる健康被害は、日本においても大変重要な課題です。継続できる治療として、飲酒量を減量させるという新しい概念である減酒薬を、我々のグローバル中枢薬事業の一環として日本で展開できることを大変嬉しく思っています」と述べています。

ルンドベック社のCEO兼社長のウルフ・ウインバーグは「日本では、アルコール摂取量の低減という効果的な治療が必要とされながらも実際には行われていません。我々は既にこの製品を欧州17カ国で展開しています。この販売経験を活かして、日本でのパートナーである大塚製薬と一緒にこの薬剤の開発を推進していけることを大変嬉しく思っています」と述べています。

大塚製薬は、ルンドベック社に契約一時金として50百万ユーロ(約65億円※4)を支払い、この一時金に開発・承認ならびに売上達成金を加えると最大で約100百万ユーロ(約130億円※4)をルンドベック社に支払います。ルンドベック社は、日本での開発費を負担し、共同販促の権利を有します。また、日本向けの錠剤バルク生産をルンドベック社が担当します。「nalmefene」(ナルメフェン※3)の国内での臨床第III相試験は、2014年に開始する予定です。

大塚製薬とルンドベック社はグローバル中枢薬事業で、大塚製薬創製の「エビリファイ メンテナ」、「ブレクスピプラゾール」とルンドベック社の「Lu AE58054」を含む3つの化合物を共同開発、共同販売する契約を2011年11月に締結しました。この度の「nalmefene」(ナルメフェン※3)の契約は、2011年の契約とは別途の契約になります。今回の合意に至ったことで、大塚製薬とルンドベック社の協力体制はますます強固なものとなります。両社は今後も世界の中枢神経領域の治療発展を重視してまいります。

※1 尾関米厚、松下幸生、白坂知信、他:わが国の成人飲酒行動およびアルコール症に関する全国調査. アルコール研究と薬物依存40:455-470、2005
※2 Nakamura N, Tanaka A, Takano T. The social cost of alcohol abuse in Japan. J Studies on Alcohol, 54: 618-625, 1993
※3 カタカナ表記は読み方を示すものです。
※4 為替レート: 1ユーロ=130円


参考

「nalmefene」(ナルメフェン)について

「nalmefene」は、オピオイド受容体拮抗薬です。オピオイド受容体は、中枢神経系に広く分布し、脳内報酬系や情動制御、痛みのコントロールなどを司り、これまでに3つのサブタイプ(μ、κ、σ)が知られています。「nalmefene」は、μ受容体に働きかけて報酬効果を調整し、κ受容体を介して嫌悪感を抑制することによって、飲酒誘因刺激への過度な反応を抑え、減酒に伴うストレスを緩和させることが可能と考えられます。また受容体親和性が高く、半減期も長いことから、飲酒欲求を抑制することに繋がります。既に販売を開始している欧州では多量飲酒リスク高値(男性では1日60g、女性では1日40g以上の飲酒量)の成人のアルコール摂取量を低減させるという適応をもつ世界初のアルコール依存症治療薬です。

アルコール依存症について

アルコール依存症をひとことでいうと、「大切にしていた家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態」です。具体的には、飲酒のコントロールができない、離脱症状がみられる、健康問題等の原因が飲酒とわかっていながら断酒ができない、などの症状が認められます。確定診断はICD-10診断ガイドラインに従います(表1参照)。

アルコール依存症の患者さんは、本来、飲酒してはならないような状況でも強い飲酒欲求(飲酒渇望)に苛まれます。また、中枢神経がアルコールに依存している「離脱症状」(表2参照)や、否認(本人が問題を認めない)や自己中心性(物事を自分の都合のよいように解釈する)などの心理特性が認められます。更に、暴言・暴力、徘徊・行方不明、妄想などの精神症状や行動異常を伴うこともあります。

治療は外来でも可能ですが、日本では入院治療が主体です。入院治療は、「解毒治療」、「リハビリ治療」、「退院後のアフターケア」の3段階に分けられます。アルコール依存症は早期発見、早期治療が重要です。早期の方が、アルコールによる健康や社会的影響が小さく、また、家族崩壊も未然に防ぐことができます。
※ 「アルコール依存症について」:厚生労働省、みんなのメンタルヘルス総合サイト、『アルコール依存症』より抜粋

アルコール依存症 飲みたい衝動、薬で抑える 心理社会的治療の一助に

アルコール依存症 飲みたい衝動、薬で抑える 心理社会的治療の一助に
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO57743720V20C13A7EL1P01/ (魚拓
2013/7/26付

 適量であれば「百薬の長」でもあるお酒だが、度を過ぎて飲み続けてしまうと、いつもアルコールが欲しくなる依存症に陥ってしまう。健康を害し、きちんと働けなくなる。本人だけではなく家族にも大きな負担がかかる。こうなってからの禁酒は、相当の強い意志がないと難しい。そんな中、お酒を飲みたいという欲求自体を抑える新薬が登場した。専門家は依存症の治療を手助けできると期待を寄せている。

 アルコール依存症の患者は約80万人いるとされ、依存症の疑いがある人は440万人という。男女比は6対1で男性が圧倒的に多い。ただ、男性は50代が多いのに対して、女性は40代が目立つ。女性は、体が小さく、アルコールの影響を受けやすいと推測される。

 アルコールを飲むと、多弁になったり、気が大きくなったりと、興奮状態に陥る。日本酒1合やビール大瓶1本程度ならストレス解消につながるものの、自分を見失うような飲み方を続けると「過剰興奮」の状態が続いて脳内の神経バランスが崩れてしまう。

■脳内の神経に作用

 脳の中枢では、「興奮性神経」と「抑制性神経」がてんびんのようにバランスをとっている。

 アルコールを飲むと、まず抑制性神経が刺激され、続いて興奮性神経も反応する。アルコールを繰り返し摂取し続けると、興奮性神経を過剰に働かせる作用が体に表れる。抑制性神経の活動を再び増やそうと、アルコールを脳が求めてしまう。アルコールから離れられなくなり、平日の昼でも飲んでしまうという状態に陥る。

 日本新薬が5月から販売を始めた新薬「レグテクト(一般名・アカンプロサートカルシウム)」は、この神経バランスを、薬の作用によってバランスのとれた均衡状態に導く。

 1日3回、食後に服用すると脳の中枢にある興奮性神経を抑制する。興奮性神経の働きが減衰すると、抑制性神経の働きを活発にする必要がなくなる。こうして、アルコールを欲しがらなくなる仕組みだ。

 禁酒の効果を確かめる臨床試験では、半年に相当する24週間、新薬を飲む163人と、薬効のない偽薬を飲む164人で比較した。

 その結果、24週後、偽薬のグループで完全に飲酒を断てた人の割合は36%、新薬のグループは47.2%だった。「薬の効果が出た」と国立病院機構久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は指摘する。

 ただ、樋口院長は「薬の服用はあくまで禁酒に向けた補助薬の位置付け」と付け加える。依存症は精神疾患に分類され、「薬物療法ではなく、心理社会的治療がメーンになる」(樋口院長)からだ。

 アルコール依存症は、通常、10週間ほど入院をして禁酒を続けることを目指す。最初の3週間ほどはアルコールを抜くと手が震えるといった禁断症状に耐えて、禁酒を続けるよう指導する。1年後に禁酒を続けている患者は全体の約3割という。禁酒を続けようとする過程で今回の新薬は有用な道具の一つになるとみている。

■肝臓への負担軽く

 禁酒補助薬は他の種類もあるが、服用中にお酒を飲むと気分が悪くなる作用で禁酒を促す。患者の中には服用をためらう人もいたという。今回の薬は、飲みたいという欲求を抑制するので「このタイプなら試してみたいという患者が増える可能性もある」(樋口院長)という。

 新薬は低分子薬という種類で、体の中で分解されることはない。アルコールとの相互作用がないため、服用中に誤って飲酒をしても特に問題はないという。肝臓への負担も軽く、肝機能障害がある患者にも使える。薬の成分が尿などから排出されるため、腎機能障害の人は慎重さが求められている。

 アルコール依存症の問題は患者だけの問題では決してない。今回の新薬を一つのきっかけとして、依存症の克服をみんなで支えていきたい。

(新井重徳)[日本経済新聞夕刊2013年7月26日付]
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日本新薬の新薬「レグテクト」は脳の中枢にある興奮性神経を抑制する
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食道がん男性患者の3割、アルコール依存症の疑い

食道がん男性患者の3割、アルコール依存症の疑い
http://www.asahi.com/science/update/0919/TKY201209190612.html

 食道がんになった男性の約3割にアルコール依存症の疑いがあることが、京都大や国立病院機構久里浜医療センターなどのグループの研究でわかった。19日、札幌市で始まった日本癌(がん)学会で発表した。飲酒が食道がんになりやすくするとの報告はあるが、食道がん患者にアルコール依存が多いことを示したのは初めてという。

 2005~10年、全国16施設で早期の食道がんがわかり、内視鏡でがんを切除した279人の男性について、飲酒する頻度や飲み始めてやめられなかった頻度などを聞く世界保健機関のテストを実施した。

 その結果、29%はアルコール依存症の疑いがあるとの結果が出た。16%は依存症ではないが健康を害する危険な飲酒に分類された。

 アルコール依存になると食事バランスが崩れ、体をこわすまで飲酒を続けるなどがんになりやすくなる。また食道がんは切除しても、別の場所にがんができやすく、再発を防ぐには飲酒を控えるのが望ましい。

 横山顕・久里浜医療センター臨床研究部長は「外科医と精神科医が連携して依存症患者の治療をすることで、食道がんの患者を減らすことができる」と話す。(辻外記子)

食べ物への抑えられない衝動を抑える方法

食べ物への抑えられない衝動を抑える方法
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_514189魚拓

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月19日(水)10時8分配信

 カップケーキが呼んでいる。

 実際にそのクリーミーな栄養分たっぷりのスイーツを食べることはできる。ほかのことは考えられないくらい食べたいと思う。でもそれを本当に欲しているのだろうか。それとも、カップケーキが運んでくる楽しみが欲しいのだろうか。ひょっとすると、食べてはいけないと思うから余計に欲しくなるのかもしれない。食べたい衝動と戦えば衝動がなくなるだろうか。それとも状況が悪化するだけだろうか。

 科学者らは食物への渇望を理解するために、これらすべての疑問を細かく研究した。米国では肥満問題が拡大しているため、研究は危急性をもって行われた。食物への渇望は間食の習慣や食べ過ぎ、過食症といった行為に影響を及ぼすと広く信じられているためだ。

 研究によりわかったことの一部はこうだ。

 機能MRI(磁気共鳴画像)スキャンや血流の変化による脳の活動を測るテストなどにより、食物への渇望はドラッグやアルコールへの渇望と同じ脳の報酬系を活性化させることがわかった。 

 ほとんどすべての人は時折、食物への渇望を経験する。しかし女性のほうが男性より、また若い人の方が年配の人よりも頻繁に経験することが報告されている。

 ある研究によると、男性の85%が食物への渇望に屈することで満足感を得られたと回答している一方、女性はわずか57%しか満足感を得られたと回答しなかった。

 多くの女性が妊娠中に塩や脂肪や奇妙な組み合わせの食べ物に対する渇望があると報告しているが、研究者らは科学的検証ができていない。むしろ民間伝承や暗示のせいではないかとみている。

 数十年間、研究者らは食物への渇望は栄養の偏りを正すために体が無意識に行うものだと推測していた。この理論によると、例えば、ステーキを欲しがるのはタンパク質や鉄分を体が必要としている可能性が高いためとなる。チョコレート依存症はマグネシウムが不足しているのか、それとも恋をしているときに体が作り出すフェニルエチルアミンといった気分を変化させる働きをする化学物質が不足しているのかもしれない。

 しかし研究が進むにつれ、栄養の偏りを直すという考えに疑問符がついた。つまり、ビタミン豊富な緑の葉物野菜を渇望する人はほとんどいないうえ、フェニルエチルアミンをチョコレートより多く含む食べ物は他にもたくさんあるからだ。例えばサラミやチェダーチーズなどがそうだ。

 その代わり、研究により、食物への渇望は社会的、文化的、心理的要因が混合して引き起こされ、環境からのきっかけに大いに影響されることがわかった。北米ではチョコレートが最も渇望されやすい食べ物として根強いが、日本女性はすしを渇望しやすいことが最近の研究でわかった。またエジプトでは若い男性のわずか1%、女性では6%しかチョコを渇望しないことが2003年の調査で明らかになった。米ニューヨーク州オールバニの大学の心理学者ジュリア・ホームズ氏は「他の多くの言語には"craving(渇望)"に対応する言葉がない。この概念は特に米国文化のなかで重要なようだ」と話す。

 フィラデルフィアの研究施設モネル・ケミカル・センシズ・センターの食物心理学者マルシア・ペルチャット氏が機能MRIスキャンを使って行った研究により、食物への渇望の感覚記憶はドラッグやアルコールへの渇望が活性化させる脳の同じ部分を活性化させることがわかった。記憶が蓄えられる海馬、認識や感情に関係する島皮質、学習や記憶に重要な尾状核などが含まれるという。神経伝達物質のドーパミンが出て気分が良くなる、報酬系と呼ばれる作用だ。

 専門家は食物への渇望は、例えばサンクスギビングのパンプキンパイやクリスマスのジンジャーブレッドのような、たまに起こるものであれば問題ないという。また健康的な食物であれば年中渇望していてもいい。しかし、あまりに頻繁に起こるようであれば、渇望のスパイラルは制御不能になりかねない。

 脳研究者らによると、ドラッグやアルコール、高脂肪や糖分の高い食べ物などで絶え間なく脳の報酬系を刺激し続けると、ドーパミンの受容体の多くが過剰な負荷を避けるために閉じていくのだという。受容体の数が減ると、気分が良くなる感覚が減り、さらに渇望するようになるのだ。『The Hunger Fix』を著したパム・ピーク氏は「すぐにカップケーキ1個では済まなくなる。おなかいっぱい食べて、それでもまだ気分がよくならない事態になる」と話す。ピーク氏によると、食物依存症は通常であれば突発的な衝動性や依存症につながる習慣性を受け付けないはずの前頭前野を変化させてしまうという。

 食物への渇望と戦う最良の方法は何か。多くの研究は、食べ物を制限すればするほど、実験対象者はそれを欲しがる可能性が高いことを示している。これを踏まえ、研究者のなかには食べ物を制限する代わりに、食べたい衝動を受け入れ、コントロールすることを提案する向きもある。

 ロンドンのユニバーシティ・カレッジが2003年に行った研究によると、食事の合間や食後にだけチョコを食べた被験者は、空腹時に食べていた人よりもチョコを断つことに成功したという。

 また認知行動療法も有効な場合がある。オーストラリア・アデレードの研究者らは自称チョコ渇望症の110人に1週間、チョコの入った袋を持たせた。被験者の半数には「認知再構成法」――チョコを食べたい衝動に立ち向かっていく方法――を指導し、残り半数には「認知ディフュージョン(緩和)法」――チョコを食べたい衝動を受け入れ、行動することなしに、自分の衝動を観察する方法――を指導した。結果、緩和法を指導したグループはそうでないグループより袋に残ったチョコの量が3倍多かった。

 運動が食物への渇望を減らすこともある。またガムや、食べ物以外のにおいを嗅ぐことも有効だ。例えばジャスミンの香りを深く嗅ぐと、食物への渇望で重要な役割を果たすアロマの受容体がそれで占有され、渇望が減る一助となる。

 ピーク氏は渇望が起こった際にタイマーを30分にセットすることを提案する。タイマーが鳴るまで他のことに没頭すると渇望が消えている可能性があるという。「少なくとも渇望する食べ物を口にする時間を遅らせれば、習慣的に反応するのを弱めることができる」とピーク氏は指摘する。

 研究によると、食物への渇望を長く食い止めることができれば、それだけ衝動が弱まってくるという。これは朗報だ。

Wired:若いうちに大麻を吸うと頭が悪くなる

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若いうちに大麻を吸うと頭が悪くなる:研究結果
http://wired.jp/2012/08/29/marijuana-lowers-iq/魚拓

10代のうちに大麻の味を覚え、その後も頻繁に吸引を続けた人では、IQが約8ポイント低下したことがわかった。IQ100で中間に付けていた人が8ポイント低下して92になると、全体のランクは下から3割以下のところまで下がってしまうことになる。

大麻(マリファナ)は世界でもっとも消費量の多い違法薬物。だからといって害が少ないわけではない。「10代のうちに大麻をやりすぎると、知能指数(IQ)や認知機能が低下するかもしれない」とする研究結果が新たに発表されている。

ニュージーランドで実施されたこの研究では、1,037人の被験者を0歳から38年間追跡調査。その結果、10代のうちに大麻の味を覚え、その後も頻繁に吸引を続けた人ではIQが約8ポイント低下したことがわかった。また、後に吸引をやめた人でも知的低下が回復することはなかったという。

「大麻は無害なものではない。ティーンエイジャーにはとくに有害だ」そう話すのはデューク大学(Duke University)の心理学者でこの研究論文をまとめたマデリーヌ・メイアー。この論文は米国時間8月27日に発行された学術誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」に掲載されている。

研究者たちは被験者が大麻を吸い始める前、13歳の頃にIQテストを実施。その後、被験者が38歳のときにもう一度テストを行った。被験者のなかには、重大な健康的・社会的、法的問題を引き起こしているにも関わらず、大麻吸引をやめられない常用者も含まれていた。

また、大麻吸引者はそうでない人に比べ、IQの低下以外にも記憶、処理能力、実行機能など5つの特定の知的機能で劣っていたという。参加者の家族や親戚に調査したところ、大麻を過度に使用している被験者に、注意力や記憶の問題があると彼らも気づいていたという。

なお、IQが100でちょうど中間に付けていた人が、8ポイント低下して92になると、全体のランクは下から3割以下のところまで下がってしまうことになる。

TEXT BY TANYA LEWIS
TRANSLATION BY 中村航

Teens Beware: Using Marijuana Could Make You Dumber
http://www.wired.com/wiredscience/2012/08/marijuana-lowers-iq/魚拓

飲酒運転経験は依存症の86%

飲酒運転経験は依存症の86%
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201207230033.html魚拓

 中国新聞社は、広島県断酒会連合会(事務局・広島市安佐北区)の加盟11団体の会員であるアルコール依存症患者、元患者に飲酒運転に関するアンケートをした。回答者の86・9%が飲酒運転の経験があり、経験した人の66・8%が「日常的だった」とした。飲酒運転が絶えない背景に、依存症の影響がある実態が浮かんだ。

 アンケートは連合会の協力を得て、依存症患者と依存症を克服した会員の計320人に実施。73・8%に当たる236人から回答を得た。

 飲酒運転の経験の有無については、205人(86・9%)が「ある」と答えた。うち137人(66・8%)が「日常的に繰り返していた時期がある」、59人(28・8%)が「数回」とした。

 飲酒運転の経験者205人のうち、87人が道交法違反(酒気帯び運転)容疑などで「摘発されたことがある」と答えた。このうち「2回以上摘発された」のは39人。飲酒運転を繰り返した理由(自由記述)では、「いけないと思ってもやってしまった」などと依存症の影響を示す意見が12人に上り最も多かった。

 飲酒運転をした理由(複数回答)については、「ばれなければ大丈夫だと思った」が93人で最多。「悪いと思っていなかった」(36人)「少ししか飲んでいなかった」(35人)などと続いた。当時は罪の意識が薄く、安易な気持ちで飲酒運転をしていた実態も浮き彫りとなった。

 飲酒運転がなくならない理由(自由記述)は、「依存症か予備軍が多いから」との趣旨の回答が27人と最も多かった。

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過度な飲酒「脳萎縮」招く? 認知症の原因にも 脳ドック検診で確認を

過度な飲酒「脳萎縮」招く? 認知症の原因にも 脳ドック検診で確認を
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A96889DE1EBE6EBE2E0E5E2E3E2E2E1E0E2E3E09F88E6E2E2E3 (魚拓
2012/3/11付

 飲み過ぎは体によくない。一部のがんになるリスクが高まるだけでなく、認知症と関係があるとみられる「脳の萎縮」を進行させるとの見方もある。体質的にアルコールをあまり受けつけないタイプの人が飲酒量を増やした場合、最も気をつけなければならないと専門家は指摘する。

 都内在住の男性Aさん(45)は、ここ数年、物忘れがひどくなり、周囲の勧めで脳ドックを受診した。検査後、医師から「脳が縮んでいる」と告げられた。

 Aさんは若い頃からお酒が大好き。平日は仕事後に缶ビール(500ミリリットル)2~3本、週末には朝から晩まで飲み明かすことも。「まさかアルコールで脳の萎縮が進行するとは思ってもみなかった」

 脳の神経細胞が大量に死滅し、脳の容積が小さくなると萎縮が起きる。誰でも加齢とともにみられる現象だが、アルコールの大量摂取が萎縮を進行させるとする研究結果が国内外で報告されている。

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萎縮した脳(右)は正常な脳に比べ「隙間」が多い(MRI画像)

 2008年、米ウェルズリー大学などの研究チームは、飲酒量が多いほど脳全体の容積が縮小するとする調査結果を発表した。平均年齢60歳の男女1839人を飲酒量に応じて5グループに分け、磁気共鳴画像装置(MRI)を使って脳容積を測定した。最も萎縮の割合が高かったのが大量飲酒者のグループだった。一方、全く飲まないグループの萎縮の割合が最も小さく、アルコールと脳の容積の間には有意な関連性が認められたとした。

 国内でも千葉大学の研究者らが同じような結果を報告している。10年ほど前の研究だが、脳萎縮の特徴とされる前頭葉の「隙間」を計測したところ、日本酒換算で1日2合以上飲酒するグループの脳萎縮発現率は38.2%で、これ以下の飲酒のグループと比べて13ポイント以上も高かった。

がんリスクも上昇

 東京医科大学病院の羽生春夫教授は「脳の萎縮は加齢に伴って50歳以降に始まるのが通常だが、飲酒量の多い人はそれよりもやや早く始まる傾向にある」と指摘する。

 過度な飲酒が悪影響を与えるのは何も脳だけではない。

 世界保健機関(WHO)は11年、世界で年間250万人の死に飲酒が影響しているとの調査結果を発表した。03年の評価でも飲酒が口腔(こうくう)がんや喉頭がん、食道がんのリスクを上げる要因になると指摘した。

 人の体にはアルコールに関する2種類の酵素が存在する。アルコールをアセトアルデヒドに分解する酵素と、分解したアセトアルデヒドを酢酸に変える酵素だ。

 アセトアルデヒドを酢酸にする酵素の強弱は遺伝子レベルで決まっている。「酵素の働きが強く酒に強い人」「働きは弱いもののある程度は飲める人」「酵素の働きが全くない人」の3タイプがある。

 アセトアルデヒドはDNA(デオキシリボ核酸)を傷つけ細胞をがん化させる。喉頭がんや食道がんなどになる危険性が最も高いのは、ある程度は飲めるタイプで、日本人の約4割が該当する。体質的には酒に強くないにもかかわらず、「慣れ」によって飲み過ぎてしまうため、病気を引き起こすリスクを高めてしまうようだ。

 飲酒の習慣を改めるにはアルコールをいきなり断つのではなく、まずは、節酒を心掛けることが大切だ。
 酒への依存度を知ることから始めよう。インターネットなどに掲載されているスクリーニングテストを利用すれば誰でも手軽に判断できる。

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「日記」つけ節制

 次に飲酒量をどこまで減らすのか目標を設定する。慶応義塾大学の加藤真三教授は「できるだけ具体的に目標を設定した方が効果的」という。設定したら「飲酒日記」を毎日つける。飲んだ相手や酒の量などを細かく記録し、達成できたかどうかを「○」「×」で書き留める。減らそうとする努力を「見える化」するのが長続きさせるポイント。

 脳がどの程度萎縮しているのか確認するには「脳ドック」を受けるしかない。東京クリニック(東京・千代田)には年間2000人弱が脳ドックの検診に訪れる。「脳の萎縮具合を直接目にすることは、禁酒や節酒のいい動機づくりになる」(笹沼仁一・健診センター長)。検診がきっかけで酒を断った人も多くいるという。
(上林由宇太)

アルコール中毒と自殺の関係

ベラルーシのアルコール中毒と自殺
http://twitpic.com/8prblj
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これを見るとアルコール問題と自殺率は露骨な相関があります。
アルコール消費量を減らせば自殺も減るのは確かなことです。

世界的にも最悪レベル! 日本の自殺率はなぜ高い?
http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/rxr_detail/?id=20100204-00001286-r25

> 先進国の中でいえば、アメリカやフランスは日本の半分弱。イタリアやイギリスは4分の1程度の自殺率だという。やはり、お国柄が違うとはいえ、日本の自殺率は群を抜いて高いと言わざるを得ないようです。

自殺率の国際比較(2011年段階の最新データ)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2770.html

Recovery Housing and Treatment Programs Reduce Relapse among Recovering Opioid Addicts

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Recovery Housing and Treatment Programs Reduce Relapse among Recovering Opioid Addicts
http://www.addictionjournal.org/viewpressrelease.asp?pr=171魚拓

28 February 2012

Opioid-dependent individuals who want to kick the habit typically begin the road to recovery with detoxification. But detox is ineffective as a stand-alone treatment, with relapse rates ranging from 65% to 80% just one month after discharge.  New research published online today in the journal Addiction reveals that individuals with substance use disorders may be as much as ten times more likely to stay abstinent when they have access to drug-free recovery housing and day-treatment programs following detox.

Opioid abuse, which includes the use of illegal substances such as heroin and the nonmedical use of prescription painkillers like OxyContin, Percocet, and Vicodin, has reached epidemic levels in the United States.  According to a November 2011 press release from the Centers for Disease Control and Prevention (CDC), the death toll in the US from overdoses of prescription painkillers has more than tripled in the past decade, with more than 40 people dying each day.  In 2010, 12 million people in the US reported using prescription painkillers for nonmedical use, according to the CDC's National Survey on Drug Use and Health. 

To find out if opioid-dependent individuals achieve higher abstinence rates given access to recovery housing and day treatment, researchers from Johns Hopkins University School of Medicine followed 243 patients -- primarily heroin users -- after their release from detox.  Eighty-three patients received 12 weeks of rent-free recovery housing and were required to remain drug-free during their residency.  Eighty more patients received 12 weeks of recovery housing plus 26 weeks of outpatient treatment, including cognitive behavioral group therapy, recreational activities, vocational assistance, and individual counseling.  The final eighty patients received referrals for aftercare treatment at other community programs. The researchers assessed all participants at one, three, and six months after detox to see how many had remained abstinent.

The overall abstinence rate for participants given no housing or treatment was a disappointing 13%, but patients who received housing showed a 37% abstinence rate, and among the group that received housing plus day treatment, 50% were abstinent.  At each of the three assessment points, participants receiving housing plus treatment were twice as likely to remain abstinent than those receiving housing only, and ten times more likely to remain abstinent than those receiving no housing or treatment at all. 

In general, the best outcomes came from participants who stayed in recovery housing the longest, and access to day treatment tended to promote longer residencies:  an average of 49.5 days versus 32.2 days for housing residents who received no day treatment. 

Says lead researcher Michelle Tuten: "It's no surprise that opioid-dependent individuals stay off drugs longer when they live in a structured, drug-free environment after finishing detox.  Drug-dependent individuals frequently report housing as their most pressing need.  If we want to help people stay off heroin and stop abusing prescription painkillers, we need to do more than help them initiate abstinence; we need to help them maintain abstinence and build a drug-free life style as well.  Improved access to drug-free recovery housing and day-treatment programs would clearly move us closer to that goal."

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For editors:

Tuten M., DeFulio A., Jones H.E., and Stitzer M.  Abstinence-contingent recovery housing and reinforcement-based treatment following opioid detoxification.  Addiction, 107: doi:10.1111/j.1360-0443.2011.03750.x


For a full text copy of this article, please contact Jean O'Reilly, Editorial Manager, Addiction, jean@addictionjournal.org, tel +44 (0)20 7848 0853.

Media seeking interviews may contact Stephanie Desmon, Senior Media Relations Representative, Johns Hopkins Medicine via telephone (+44 1-410-955-8665) or email (sdesmon1@jhmi.edu).

The CDC press release referred to in paragraph two, "Prescription painkiller overdoses at epidemic levels kill more Americans than heroin and cocaine combined," can be found at http://www.cdc.gov/media/releases/2011/p1101_flu_pain_killer_overdose.html (accessed 5 January 2012). 


オピオイド依存の人は、回復への道をまず解毒(離脱)から始めるが、解毒は単独では効果が薄く、一ヶ月後の再発率は65%~80%に及ぶ。Addiction誌オンライン版の最新投稿では、デイケア・ナイトケア施設を利用することで、断薬率を引き上げられることを紹介している。

CDCの調査によれば、ヘロインなどオピオイド乱用による死者数は過去10年間で3倍に増加し、毎日40人が死んでいる。同じくCDCのレポートでは、OxyContin・Percocet・Vicodinなどの処方された鎮痛剤を医療用途以外に使用している人は1,200万人に達している。

Johns Hopkins大学の研究者らは、243人の解毒の済んだヘロインユーザーを追跡した。うち83人は、薬物を使わないことを条件に無料のデイナイトケア施設を12週間の利用した。別の80人以上が、この12週間の入所ケア終了後に、26週間の通所プログラム(認知行動療法のグループセラピー、リクレーション、就労支援、個人カウンセリングを含む)を受けた。残りの80人は、地域におけるアフターケアプログラムへの紹介のみを行った。3つのグループとも1ヶ月後・3ヶ月後・6ヶ月後に断薬しているか評価した。

施設利用をしなかった群の断薬率は13%に留まった。入所利用を行った群は37%、さらにその後の通所利用を行った群では50%となった。