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海外論文ピックアップ Lancet Oncology誌から
チェルノブイリの健康被害、最も深刻なのは精神面への影響
エビデンスありは小児の甲状腺癌のみ
大西 淳子=医学ジャーナリスト
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/hotnews/lancet/201105/519693.html魚拓)(魚拓2)(魚拓3

 チェルノブイリ原子力発電所の事故が住民の健康に及ぼした影響を長期にわたって評価してきた米Roswell Park Cancer InstituteのKirsten B Moysich氏らが、2011年4月26日付のLancet Oncology誌電子版にコメントを寄せた。同氏らは、自らの研究も含めてこの事故の健康被害の正確な評価が非常に難しいことと、その理由を説明した。さらに同誌のエディトリアルは、同日付で、チェルノブイリの事故が住民の健康に及ぼした最大の影響は精神面に表れたという報告を紹介している。

乳癌や小児の白血病増加の疫学調査は設計に問題

 Moysich氏らは、チェルノブイリ事故を以下のように概説している。

 1986年4月25日、チェルノブイリ原子力発電所の4号炉では非常用の電源システムの実験が行われようとしていた。この原子炉は、現在では使われていない旧式の黒鉛減速軽水冷却炉だった。実験のために不安定な状態に置かれていた原子炉は、実験開始をきっかけに急激に出力を増したが、原子炉冷却用の水は失われた状態にあり、過剰な発熱が生じて、4月26日未明に水蒸気爆発と炉心溶融に至った。

 福島第一原子力発電所と異なり、格納容器を持たなかったチェルノブイリ原子炉では、続く圧力容器の爆発によって大量の放射性物質が拡散した。大気中に放出された核燃料は8~180トン、核分裂生成物(放射性物質)は30億~90億キュリーと推定されており、それらは風に乗って北西方向に飛散した。事故後数日間、正確な線量測定が行われなかったため、放出された放射性物質の正確な量を知ることはできない。

 爆発により数人の作業員が死亡し、消火に当たった消防士100人が大量の放射性物質に曝露した。黒鉛は10日間燃え続け、放射性物質の放出は約20日間続いた。100~200人が急性放射線症候群と診断され、うち約30人が早期に死亡した。その後10年間にさらに14人が死亡している。

 事故の際に放出された核種は主に放射性のヨウ素131とセシウム134、セシウム137だった。ほかに、放射性のストロンチウム89とストロンチウム90、プルトニウム234も放出されている。ヨウ素131の半減期は8日と短いため食物連鎖の中に入り込んでも短期間のうちに減衰する。だが、セシウムの半減期は2年から30年と長く、非常に広範囲にわたる汚染が発生した。ストロンチウムは半減期が52日から28年で、セシウムと同様の長期的な汚染を引き起こした。

 事故によって放出された放射性物質の量は広島に投下された原爆の400倍だった。だが、実は、1950年代から60年代にかけて行われた核実験では、チェルノブイリ事故の100~1000倍の放射性物質が放出されたと著者らは言う。

 チェルノブイリから放出された放射性物質の影響が最も大きかったのは、ロシア、ウクライナ、ベラルーシだった。汚染が最も深刻だった近隣地域では住民27万人が軽度から中等度の曝露(被曝線量にすると5~500mSv)を受けた。

 チェルノブイリの事故がその後の癌罹患率を高めたかどうかを調べた論文は数多く存在する。著者らは、国連が最初に公表したチェルノブイリリポートの作成に参加し、02年には、それまでに報告された研究を対象に疫学的レビューを行ってLancet Oncology誌に報告している(概要はLancet誌のWebサイト参照)。著者らはこの時点で、小児の甲状腺癌を除いて事故後に癌の罹患率が上昇したことを示す強力なエビデンスはないと結論していた。

 著者らと同様に、チェルノブイリ事故による汚染と小児の甲状腺癌の関係を示した2件の集団ベースのケースコントロール研究はいずれも、対象となった個々の小児の被曝線量を詳細に調べ、十分に選び抜かれた精巧な統計学的アプローチを用いて分析していた。それ以前に提供されていたエビデンスと組み合わせると、チェルノブイリ事故の結果として小児の甲状腺癌罹患が増えたという結論に疑問を差し挟む余地はなく、得られた知見は、チェルノブイリ事故と同様の事態が発生した場合に安定ヨウ素剤を配布、使用を促すかどうかの判断に利用できる、と著者らは述べている。

 一方で著者らは、チェルノブイリ事故による健康被害を評価する際に直面する壁について論じている。著者らが05年に報告した、小児の白血病がベラルーシ、ウクライナ、ロシアで増加している可能性を示した研究結果(概要はInternational Journal of Epidemiology誌のWebサイトを参照)については、試験設計に問題があったことを認めた。分析対象となったコントロールの小児の多くが事故による汚染がなかった地域から選ばれていたため、分析によって示された事故後の白血病リスクの有意な上昇は納得のいくものではないという。さらに、旧ソ連の構成国で疫学調査を行うことの難しさが正確な評価を妨げた。当時、それらの国は長期的な疫学調査の経験をほとんど持っていなかった上に、言語の壁は厚く、文化的な差は大きかった。さらに調査の対象地域が非常に広範で、全てをカバーすることが困難だった。著者らは、それらの問題も含めて試験設計に欠陥があったと考えている。

 また、ベラルーシとウクライナでは乳癌の罹患率が上昇したという報告があるが、記述疫学研究の結果であること、この研究が居住地域の汚染度に基づいて患者の曝露放射線量を推定していたことから、乳癌との関係については今後再評価が必要としている。放射線曝露による肺癌リスク上昇を報告している研究もあるが、やはり試験設計上の欠陥がデータの信頼性や正当性を脅かしている上に、喫煙の影響を放射線曝露の影響から完全に切り離すことは不可能との見方を示した。

 福島原発の今後について、著者らは、放射性ヨウ素とセシウムへの曝露を最小限に抑えるための努力の重要性と、汚染地域の隔離の必要性を強調した。

 著者らは、「痛ましいことではあるが、日本で進行中の原子炉事故は、放射性物質への曝露が癌リスクに及ぼす影響を評価するための新たな機会を提供する。日本は放射線疫学研究の長い経験を持つため、適切な調査を行うことができるはずだ。チェルノブイリ後の疫学調査を難しくした大きな要因の1つがソ連の崩壊を中心とする政情不安だった。日本は、地震と津波、そして原発事故を経験しても、政治的にも経済的にも安定しており、原発事故が健康に及ぼす影響の総合的な調査が可能と期待される。得られるデータは、今後そうした事故が発生した場合に国民に正確なリスク予測を伝えるため、また、公衆衛生担当者が有効な介入を行うために役立つはずだ」と述べている。

 原題は「25 years after Chernobyl: lessons for Japan?」、全文が、Lancet誌のWebサイトで閲覧できる。

見逃されがちな住民への心理的影響
 Lancet Oncology誌のエディターは、同じ4月26日に電子版で公開されたエディトリアルで、以下のように述べている。

 原子炉事故後、長期にわたって懸念される最大の健康被害が癌の罹患だ。原爆の生存者や被曝事故の被害者を対象とする研究で、放射性物質への曝露と白血病その他の固形癌(甲状腺癌、消化器癌、乳癌、肺癌など)が関連付けられているが、周囲の立ち入り禁止区域が適切に設定されれば、そうしたリスクを負うのは原発作業員にほぼ限定されるだろう。

 原子炉を冷却するために使用された放射性物質を含む水が海に放出されたため、海産物の汚染が懸念されている。また、農作物や水道水の汚染も報告された。福島原発から放出された放射性物質は世界各国で検出されており、米国でも大気、雨水、牛乳からヨウ素131が検出されたが、米国当局は、検出レベルは低く、国民の健康に悪影響を及ぼすことはないと強調している。

 日本政府と東京電力は、特に事故後初期に正確な情報提供を行わなかったとして批判されている。政府が4月12日に、国際的な基準に基づく事故の評価をスリーマイル島の原子炉事故と同じレベル5からチェルノブイリと同一のレベル7に引き上げたことについても、遅すぎたとの非難を受けている。

 だが、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は、福島の事故は、環境への影響という観点からはスリーマイル島とチェルノブイリの事故の中間に位置するもので、住民の長期的な健康被害が深刻になることはないとの予測を示している。

 チェルノブイリと比較して住民が不安になるのも無理はないが、チェルノブイリの事故の健康への影響については一致した見解は得られていない。UNSCEARは08年に、小児の甲状腺癌の6000例超はチェルノブイリの事故に関連付けられると結論したが、他の癌については事故との関連を示す明確なエビデンスはないと報告している。一方、民間団体のグリーンピースは、事故に起因する過剰な癌罹患者は9万3000例を超えるだろうとの予想を示している。

 日本では福島原発周辺の住民に対する甲状腺被曝のスクリーニングが行われているが、これまでのところ危険なレベルに達している人は見つかっていない。

 なお、原子力事故の心理的負荷は見逃されがちだが、実は国際原子力機関(IAEA)は91年に、チェルノブイリ事故の精神面への影響は生物学的なリスクに比べ非常に大きかったとの結論を公表している。国連のチェルノブイリフォーラムも、事故の最大の影響は住民の精神的健康面に認められ、放射性物質曝露が健康にもたらすリスクに関する情報が適切に提供されなかったことによって被害はさらに深刻になったと述べている。

 福島原発事故の長期的な転帰は明らかではないが、今後数年間、放射線量を監視し、適切な安全策を実施し、住民を支援するためには、正確な情報の広範な提供は必須だ、と著者らは述べている。

 エディトリアルの原題は「Japan's nuclear crisis」、全文が、Lancet誌のWebサイトで閲覧できる。

参考リンク:
チェルノブイリ20年の真実
事故による放射線影響をめぐって
http://www.aesj.or.jp/atomos/popular/kaisetsu200701.pdf

時代の風:放射能トラウマとリスク=精神科医・斎藤環
http://mainichi.jp/select/opinion/jidainokaze/news/20120122ddm002070146000c.html魚拓

 ◇分断招く隣組的な心性

 福島県南相馬市で診療と内部被ばくの検査、健診、除染などにかかわっている東大医科研の坪倉正治医師によれば、現時点で慢性被ばくによる大きな実被害の報告は、ほとんどないとのことである(小松秀樹「放射能トラウマ」医療ガバナンス学会メールマガジンvol・303)。

 むしろ深刻なのは、外部からの批判や報道などによる社会的な影響のほうである。原発事故による最大の被害は、子どもの"放射能トラウマ"だ。しかもその多くは、大人の"放射能トラウマ"による"2次的放射能トラウマ"であり、年齢が低いほどトラウマの程度が強い印象があるという。

 風評被害の影響もあって、うつ状態になる人が増えたり、家族が崩壊したりという事態は耳にしていた。現地で子どもの電話相談窓口を担当している人からは、このところ虐待相談も急増しているという話も聞いた。

 被災地での虐待件数についてはまだ正確な統計データが得られていないが、屋外で遊ぶ機会の減った子どもたちが、精神的に不安定な大人と過ごす時間が増えたとすれば、まったくありえない話ではない。

 問題は「風評」ばかりではない。福島の地で生活を続けている人々を批判する声が、いまだにある。とにかく「放射能というだけで危険」とする立場からは、汚染された地域に住んで子育てをするなど考えられない、というわけだ。

 しかしこの考え方は、自らが住む場所の安全性が相対的なものでしかない事実を十分に認識しておらず、いわば「福島産の放射能が危険」といった「ケガレ」の発想に近い立場という意味で"放射能幻想"と呼ばれても仕方がない。

 放射能はさしあたり人の身体は破壊していないが、"放射能幻想"は人の心を確実に破壊しているということ。

 その背景には、低線量被ばくの危険性がはっきりしないという問題がある。放射性物質の放出が及ぼす長期的影響については、不確実な点が多いのだ。生活環境に数世代にわたって残留するごく低レベルの放射能が、住民集団の健康に、長期的にどのような影響を及ぼすのか。「これ以下は安全」という「しきい値」はあるのか。被ばく線量と発がん率の上昇には直線的な関係があるのか。確実なことは何も分かっていない。

 この状況下で立場は二つに分断される。「危険であるという根拠がないのでさしあたり安全」とする立場と、「安全であるという根拠がないので危険」とする立場。事故直後には後者に傾いた私自身も、最近では前者に近い立場だ。不確実な未来予測に基づいて当事者を批判する権利は私にはないと気づいたからだ。

 社会学者のウルリッヒ・ベックは、福島の原発事故に関する論考で「非知のパラドクス」について述べている(「リスク化する日本社会」岩波書店)。

 先にも述べたとおり、低線量被ばくによる影響については、確実なことはほとんど分かっていない。こうした「非知」に耐えられない人々の中には都市伝説や代替医療に向かうものも出てくるだろう。さらにここに政治的な問題が加味されることで、知識はさらに硬直化する。

 例えばチェルノブイリの犠牲者数については、数十人から百万人以上とする説まで、報告によってまちまちであるという。事故の範囲をどう定義するかによって、データの解釈がまったく異なってくるのだ。汚染地域の区分にしても、しばしば曖昧で時に矛盾することすらあった。

 この状況下では「危険が増すほどに非知も増し、決断は不可避となるとともに不可能となる」。それどころか現時点では、情報が増えれば増えるほど混乱が深まるようにすら思われる。分かれば分かるほど分からなくなる、という状況下で、もはや「絶対の安全」は誰の手にも入らない。

 まさにこれこそが、ベックが「リスク社会」という言葉を通じて述べた状況ではなかったか。リスク社会においては、われわれの生活を快適にするはずの技術が同時にリスクも生産してしまうため、ひとたび事故が起こればリスクは万人に等しくふりかかることになる。原発事故がそうであったように。

 ベックは「リスクによる連帯」を提唱するが、いま起きつつあることはむしろ「リスクによる分断」ではないだろうか。この分断の要因としては、リスクそのものを生産している政府や東京電力以上に、リスクへの態度が異なる人々への攻撃性のほうが先鋭化してしまうという、いわば「隣組」的な心性があるように思われる。しかし、その「分断」が誰を利することになるかは言うまでもないだろう。

 さらに付け加えるなら「連帯」の手前で問われるのは、私たちの「死生観」そのものなのではないか。私たちの生が常に多様な、時として定量することもできないリスク--それは「放射能」に限らない--を抱えていること。つまり生の内側では常に死が育まれている事実を理解すること。被ばくについて考えることは、この事実を深く認識するまたとない機会となるだろう。


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断酒に貢献 全国大会表彰 朝日の高橋好道さん
http://www.map-color.co.jp/times_news/archives/8142.html
 2011.11.13 (日)
 NPO法人長野県断酒連合会の前理事長で、アルプス断酒会の名誉会長・高橋好道さん(81)=朝日村西洗馬=がこのほど、第59回精神保健福祉全国大会で日本精神保健福祉連盟会長表彰を受けた。地域の断酒会の中心となって、長年尽力してきた功績が認められた。高橋さんは受賞の喜びをかみしめ、支えてくれた関係者に感謝の思いを新たにしている。

様々お世話になっている断酒会の会長さんが、表彰されたという地元紙の記事です。2年前、全国大会開催のために積み立てた金を県断連の会計担当理事が使い込んでしまうという事件があり、その事後処理は端から見ていてもなかなか大変だったようです。AAにも奥様と二人でお招きし、酒害体験を話していただきました。
臨床心理士・信田さよ子「あなたの悩みにおこたえしましょう」
ハマってしまう自分をどうすればいいのでしょう
https://aspara.asahi.com/column/nayami-okotae/entry/BMHl6vDJQy

Q ハマってしまう自分をどうすればいいのでしょう ミエ、35歳

 思春期のころから摂食障害になり、約8年間過食と嘔吐を繰り返す生活を送りました。親には知られたくないと思い隠れて吐いていましたし、それほどひどく体重が減ったわけでもなかったので、幸い今でも家族はそのことを知らないままです。

 就職して実家を離れ、食事の習慣を規則正しくするよう努力したことが功を奏したのか、25歳ごろには症状はなくなりました。ところがそのころから別の悩みが生まれました。ヨガを始めると休みの日までヨガ教室に通いつめ最後には腰を痛めてしまい、手芸の刺繍を始めると睡眠時間を削ってまで根を詰め、最後には部屋中に作品が溢れるほどになりました。やり始めると自分でも止められないほど夢中になってしまい最後は行き詰まってやめるということの連続なのです。35歳になった今そんな自分に気づき、つくづくいやになりました。新しいことを始めようと思うのですが、ついつい躊躇してしまいます。

 最近の私は仕事から帰ってからの時間をひとりでワインを飲んで過ごすようになりました。実は、父親はアルコール依存症といっていいほどの酒飲みです。しょっちゅう酔って母に暴力をふるい、私も何度かひどく殴られた記憶があります。父は70歳を目前にしながら、今でも実家で毎晩のように酒を飲み母を困らせています。そんな家族だったので、幼いころから父のような男性とは結婚しないと誓い、成人してからは飲酒するにもかなり用心深くしてきました。きっとのめり込んでしまうと思うので、ゲームやギャンブルにも近寄らないようにしてきました。

 そんな努力をしてきたにもかかわらず、いつのまにかワインを飲む時間が増えた私が不安なのです。いつか父のようになってしまうのではないでしょうか。何事にものめり込む性格は世代間連鎖するのでしょうか。

 振り返ってみれば、人間関係も熱中しては離れることを繰り返してきたような気がします。お付き合いする男性との関係も長続きしません。早く結婚して、両親とは違う幸せな家庭を築きたいのです。こんな私をなんとか変える方法はあるのでしょうか。アドバイスをお願いします。

A 心理学用語が用いられるとき

 ご質問の内容ですが、読む人が読めばどこが問題なのだろうと訝しんでしまうでしょう。かつて摂食障害だったが今では症状はなくなっている、仕事はちゃんと続けている、趣味もやり始めれば一定程度の道は極める......。これらはほめられこそすれ、何か問題があるわけではないでしょう。なのにミエさんはそこに大きな問題を感じていらっしゃる。

 その根底にあるのはアルコール依存症である父への嫌悪と、その娘であるがゆえにいつか自分も父に似てしまうのではないかという恐怖なのではないでしょうか。自分が親のようになってしまうという世代間連鎖をミエさんは何より怖れていらっしゃるのです。では、果たして世代間連鎖は起きるのでしょうか。まずこの言葉について簡単に説明しておきましょう。

 心理学用語が人々に取り入れられるのは相応の理由があります。そのいい例が性格という言葉です。今や日常用語になったこの言葉は戦後社会において急速に広がったものです。民主主義社会においては、人々は生まれつきの家柄や性別によって決定されるのではなく、平等な人権に基づいて生きることができるようになりました。たとえ建前であったとしてもそのことが憲法に謳われてから、性格という言葉が流通し始めたのです。もともとの性質(たち)や性根、人品とも異なる性格という心理学的な言葉は、個人を尊重し、その結果として個人の責任に帰せられる言葉でした。親がしつけや育児に際して「あの子の性格は~」と語るとき、子どもには性格という目に見えない実体が備わっており、そこに問題があるのだと主張しているのです。子どもの性格は子どものものなのですから、親に責任はなくなります。また対人関係において、「あの人はヘンだ」という代わりに「あの人は性格がヘンだ」と批判されれば、ヘンな性格を修正する責任が強調され、却って傷ついてしまうでしょう。

 このようにして心理学用語は、その都度日本の社会に必要とされて定着してきました。最近では「トラウマ」「自己評価が高い(低い)」などが挙げられます。世代間連鎖もそのひとつと考えていいでしょう。逆にそれらから日本の社会の変貌を見ることができるかもしれません。

「世代間連鎖」という言葉が隠ぺいしたもの

 この言葉が日本で広範に受け入れられるようになったのは、1990年代に入ってからでしょう。私の記憶によれば、もともとはアルコール依存症の親をもつ人たちが、成人後、親と同じくアルコール依存症になってしまうという多くの事実から生まれた用語です。私も分担して翻訳している『私は親のようにならない―嗜癖問題とその子どもたちへの影響』(クラウディア・ブラック著、斎藤学監訳、誠信書房、1989)は世代間連鎖の問題を描いた最初の本でした。著者によれば、アメリカではアルコール依存症者の子どもは成人後約半数が同じ依存症に、四分の一の配偶者が依存症者になるというのです。あまりに希望がないと思われるかもしれませんが、この本はそうならないための手立ても書かれています。しかしながら、日本において広がったのは、アルコール依存症のもたらす次世代への影響より、「親のようになってしまう」という悲観的な側面だったのです。それがもっとも活用されたのが子どもへの虐待でした。

 90年のバブル崩壊後、日本経済は成長を鈍化させ長期にわたる低迷状態へと突入していきます。同じ時期、日本では子どもの虐待防止が叫ばれ始めました。大阪と東京で、親の虐待から子どもを守るための市民団体が、小児科医や弁護士・精神科医・保健師などを中心として相次いで設立され活動を開始します。マスメディアでも虐待死のニュースが流れ始め、特集も組まれました。それらの論調の多くは虐待する母を克明にルポし、彼女たちも虐待されて育った、つまり世代間連鎖によるものだと結論づけました。言うなれば、「母性」を喪失し虐待に走る母を俎上に上げ、その理由として彼女たちも虐待されて育ったという因果論によって説明づけたのです。多くの読者は虐待という残虐な行為に戸惑うからこそ、このようなわかりやすい説明を受け入れたのです。これが世代間連鎖という言葉が一気に広まるきっかけとなりました。

 虐待を母=女性の問題に矮小化し、さらに世代間連鎖という因果論で説明することで隠ぺいされたものは何だったのでしょう。

 2000年に子どもの虐待防止法が施行されて以来、さまざまな調査によって明らかになってきたことがあります。それは虐待の加害者の多くは実父・義父であることでした。また虐待されて育った女性が必ずしも虐待する母になるわけではないことも明らかになっています。つまり90年代に世間一般に受け入れられたあの世代間連鎖という言葉はそれほど根拠がなかったのです。

 とすれば、当時の社会において虐待を女性=母の問題へと囲い込み、「自己責任」の対極である運命論的な世代間連鎖と結論づけたことは、不況のさなかで子どもを虐待する男性=父の姿を隠ぺいし、さらにすべてを自己責任へと集約する新自由主義(ネオリベラリズム)からの解放を意味したのではないでしょうか。おまけに、母=女性は虐待されて育った被害者性を承認されることで自分を責めずに済み、父=男性の責任も不問に付されたのです。

世代間連鎖は男性の問題

 近年新たに注目されるようになったのは、DV(ドメスティック・バイオレンス)を目撃して育った男児が、長じて父と同じく配偶者に暴力をふるうようになるという世代間連鎖です。DVを目撃することは広義の虐待であり、その影響は男児と女児ではジェンダー差があると言われています。少々雑駁な説明になりますが、父から母への暴力を見た男児は攻撃性を他者に向け、女児は自分に向ける傾向があると言われます。

 私はDV加害者プログラムを実施していますが、そこに参加する男性たちの多くは子ども時代に父から母へのDVを目撃しているという事実も、それを裏付けるように思います。したがって世代間連鎖は女性(母から娘へ)の問題ではなく、むしろ男性(父から息子へ)の問題だと言ってもいいでしょう。女性は否が応でも出産を経験することで母親のことを思い出さざるを得ませんが、男性も結婚する前に今一度父親のことを思い出し、母にとって父がどのような夫だったかを振り返ってもらいたいのです。それは決して後ろ向きなことではなく、夫となり父となるために不可欠な作業であるとさえ思います。自分が深く父の影響を受けていることを知るのは、その影響を払拭するための大前提なのです。

コントロールを喪失する=依存症

 さて肝心のアルコール依存症についてですが、アルコールという薬物に対する反応における遺伝的要素は否定できないようです。アルコールの酔いが何らかのメリットをもたらさなければアルコール依存症にはなりません。父親がアルコール依存症であるということは、アルコールを摂取することでミエさんも「酔いの快楽」を経験できる可能性が大きいということを表しています。そのことが直線的にアルコール依存症につながるわけではありませんが、人生においてつらい時期にアルコールの酔いだけが救いになることもあるでしょう。依存症になる危険性はそこに潜んでいます。

 ミエさんはワインを飲む時間が増えているとお書きになっていますが、それが楽しみであれば問題ないのですが、飲むことに罪悪感を感じながらそれでも飲んでしまうのであれば、少々問題だと言わざるをえません。さまざまなことにのめり込みハマってしまうのは、いつのまにかコントロールを喪失していることを表しています。自分でも止められないことをコントロール喪失といいますが、実は過剰なセルフコントロールとそれの喪失とはコインの裏と表の関係にあります。なすがまま、やりたいようにしている人はコントロールを喪失しているわけではありません。むしろ自分を責めて止めようとすればするほど止まらなくなり、コントロールを喪失していくのです。依存症になる人は、裏返せば自分を責めている人なのです。父親のアルコール依存症が飲むことへの罪悪感につながっているとすれば、ミエさんは依存症になる危険性が高いことになります。

予防できる世代間連鎖

 危険性が高いことはやめましょう。ワインを飲むことは今なら簡単にやめることができます。もう少し時間が経つとミエさんのアルコールへの依存度は強くなるでしょう。そうなればやめるのはどんどん困難になります。この段階で相談してみようと思われたのは適切な判断でした。

 さて冒頭でも申し上げましたが、ミエさんはこれまでの人生をもう少し評価してもいいのではないでしょうか。家族に内密にしたままで摂食障害から回復されたことは、何より評価されるべきでしょう。多くの摂食障害者は10年以上も症状に苦しみ、周囲の家族を巻き込んでいきます。それに比べればなんと健気なことでしょう。父のDVとアルコール依存症に苦しんでいる母親に苦労をかけたくないという思いからか、それとも自分の苦しみを親が理解できるはずもないという絶望からか、いずれにしてもその孤高の姿はミエさんのプライドそのものを表しています。そのプライドこそが、ミエさんのこれまでの人生を守り支えてきたということを信じていただきたいのです。用心深くギャンブルやゲームを遠ざけ、人間関係においても決定的に傷つくことを避けてきたこと。これらも同じプライドの表れとして位置づけることができるでしょう。

 そんなミエさんに提案があります。プライドは自分を守りますが、時には他者を遠ざけることもあります。そこから生まれる孤独感と孤立感は、実はアルコールの酔いと親和性が高いのです。ワインをやめたついでに、同じ経験をもつ人たちのグループにつながり、参加してみませんか。アルコール依存症や機能不全家族で育った人たちの自助グループやカウンセリング機関で実施されるグループもあります。ミエさんのように深い孤立を経験した人だからこそ味わえる、他者とつながる喜びがあるでしょう。そうすることで世代間連鎖という言葉に怯える必要はなくなり、幸せな家庭を築く可能性も出てくるのではないでしょうか。


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註1:2004年に改訂版刊行
 2:特定非営利活動法人児童虐待防止協会(APCA)1990設立
 3:社会福祉法人子どもの虐待防止センター(CCAP)1991設立
 4:ACA(Adult Children Anonymous、アダルト・チルドレン・アノニマス)http://aca-japan.org/

やさしい医学リポート:「飲酒」はがんリスクを押し上げる
https://aspara.asahi.com/blog/medicalreport/entry/5VROYOrRie

坪野吉孝 《山形さくら町病院精神科・早稲田大学大学院客員教授》

世界保健機関(WHO)のがん研究機関は、アルコールが口腔、咽頭、喉頭、食道、肝臓、大腸、女性乳房のそれぞれのがんの原因になると判定している。

アルコールががんの原因としてどのくらいの割合を占めているかを推計した論文が、英国医学雑誌に4月公表された。

欧州8カ国(フランス、イタリア、スペイン、英国、オランダ、ギリシア、ドイツ、デンマーク)の追跡調査に参加する主に37~70歳の男女363,988人を対象に分析した。

飲酒の状況を質問票でたずね、最近1年間に飲酒していた者を「現在飲酒者」、以前は飲酒していたが最近1年間は止めた者を「過去飲酒者」、以前も最近1年間も飲酒していなかった者を「非飲酒者」と分類した。

男性では、現在飲酒者が88.2%、過去飲酒者が6.2%、非飲酒者が5.6%だった。女性では、それぞれ79.3%、9.0%、11.7%だった。現在飲酒者の割合は、デンマークとドイツで高く、ギリシアとスペインで低かった。

平均8.8年間の追跡調査に基づいて分析したところ、非飲酒者と比べて、過去飲酒者の全がん発症リスクは男性が1.54倍、女性が1.10倍だった。現在飲酒者の全がん発症リスクは、1日のアルコール摂取量が12グラム(日本酒で約半合)増えるごとに、男女とも3%ずつ高くなった。

これらの結果をもとに推計すると、アルコール(現在飲酒と過去飲酒)ががんの発症に占める割合は、全がんでは男性で10%、女性で3%だった。つまり、アルコールが、男性の全がんの原因の10%、女性の全がんの原因の3%を占めるという結果だった。

また、同じ割合を、アルコールが原因になるがん(口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸・女性乳房)に限って推計すると、男性では32%、女性では5%だった。
アルコールががんの発症に占める割合
【 すべてのがん 】
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【 アルコールが原因になるとされる7種のがん 】
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少量から中等量の飲酒は、心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患のリスクを下げることが分かっている。しかし著者らは、飲酒ががんのリスクを上げ、しかも、ここまでならがんのリスクを上げないという飲酒量の上限がないことから、心血管疾患や総死亡率の低下のために飲酒を勧めるべきではないと主張している。

今回の研究はヨーロッパでのデータだが、その結果はおおむね日本にも当てはまると考えられるだろう。飲酒はストレス解消や人とのコミュニケーションをはかる上で有用だ。けれども、いくつかのがんのリスクが飲酒で上がることがはっきり分かっていることも、覚えておく必要がある。

いずれにせよ、飲むならほどほど(男性なら1日平均で日本酒1合程度、女性はその半分)にすることが大切だ。
成人の2.1%が発達障害の一つ「ADHD」 浜松医大などが調査
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20111118/CK2011111802000148.html魚拓
2011年11月18日

 浜松医科大と浜松市は17日、発達障害の一つで成人期の注意欠陥多動性障害(ADHD)がある人の割合や傾向を共同調査し、協力した市民の2・1%がADHDにあたると結論づける研究結果を発表した。

 成人期のADHDは日本では現状把握や治療法が未確立で、調査は国内で初めて。結果から、浜松市では約8000人が成人期のADHDと推測でき、浜松医科大の中村和彦准教授は「全国的にも同様の割合や特徴があると見ていい」と見解を述べた。

 調査は2010年2月から約1年間をかけて実施。無作為に抽出した市内の18~49歳の1万人に、日常生活の集中力や計画性などに関する診断表を配布し、3911人から回答を得た。

 その結果、ADHDの疑いがある陽性群は197人で、面接の結果、回答者全体の2・1%がADHDであると診断した。

 また、陽性群と陰性群を比較した結果、陽性群は20代に多く40代後半に少ない傾向があり、「男性」「未婚」「一人暮らしか親と同居」「無職」「世帯収入が200万円以下」「不健康」「通院中」と答えた人に多くみられた。悩みやストレスは「よくあった」と回答した人が圧倒的に多かった。
オピオイド拮抗薬ナルトレキソン、アルコール依存症の治療効果はプラセボ並み
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/all/hotnews/archives/160499.html魚拓

2001.12.17

 比較的重症のアルコール依存症患者を対象とした臨床試験で、1995年から米国でアルコール依存症治療薬として使われているナルトレキソンに、プラセボと同程度の治療効果しかないことがわかった。米国には約800万人のアルコール依存症患者がいるが、ナルトレキソンは服薬コンプライアンスの高い治療薬として頻用されており、今回の試験結果は医療現場に大きな影響を及ぼしそうだ。研究結果は、New England Journal of Medicine(NEJM)誌12月13日号に掲載された。

 ナルトレキソンは、オピオイドのμ受容体に対する拮抗薬。アルコール依存症の原因の一つとなる飲酒の"報酬効果"をブロックし、飲酒に伴う高揚感などを失わせることで、断酒を続けやすくする効果があるとされる。

 米国退役軍人Connecticutヘルスケアシステム・退役軍人アルコール研究センター部門のJohn H. Krystal氏らは、ナルトレキソンがプラセボよりも断酒継続効果が高いとする報告が出された後、追加で行われた複数の臨床試験で、「示唆されたほどの効果はない」との報告が出されている点に着目。各地の退役軍人医療センター15カ所と共同で、ナルトレキソンとプラセボとを比較する大規模試験を行った。

 試験の対象となったのは、15医療センターでアルコール依存症の治療を受けており、試験登録時に断酒が継続できている退役軍人3372人。Krystal氏らは、カウンセリングなど他の治療法によるばらつきが出ないよう、各センターから30~50人ずつ患者を抽出。総計627人を無作為に3群に分け、ナルトレキソンの短期服用、長期服用とプラセボ服用とで、断酒の継続期間などに違いが出るかどうかを調べた。

 対象患者の平均年齢は約49歳で、ほぼ全員が男性。白人が約6割、黒人が約3割を占めた。アルコール依存症歴は長く、平均23歳から継続的な飲酒を始め、30歳頃に飲酒が止められなくなっている。また、パートナーと同居しているのは全体の3分の1で、残りは別居、別離または独身であり、家庭環境的にも断酒が困難な患者が比較的多かった。

 研究グループは、ナルトレキソンを12カ月服用した「長期服用群」(209人)と、ナルトレキソンを当初3カ月服用、残りの9カ月はプラセボを服用した「短期服用群」(209人)、プラセボを12カ月服用した「プラセボ群」(209人)とを比較した。すると、13週目の評価では、ナルトレキソン群(長期服用群+短期服用群)とプラセボ群との間で、断酒期間に違いがみられなかった。52週目の評価でも、ナルトレキソン群(長期服用群)とプラセボ群(短期服用群+プラセボ群)とで、飲酒日数や1日の飲酒量に有意差はなかった。

 次に研究グループは、断酒の継続や、飲酒再開後の飲酒日数などに影響を与える因子を解析した。その結果、医療センターで行われる個人カウンセリングへの参加頻度や、地域のアルコール依存症自助グループ(アル・アノン)への参加率と、断酒の継続日数などとの間に有意な相関がみられた。また、ナルトレキソンあるいはプラセボの「服薬コンプライアンス」が良い人では、飲酒再開後の1日の飲酒量が有意に少なかった。しかし、こうした効果はナルトレキソンを服薬したかどうかには特に関係がなかったという。

 Krystal氏らは、断酒に対する効果と、カウンセリングや自助グループへの参加率、服薬コンプライアンスとの相関は、「断酒への意欲が高い」との共通項を反映するもので、因果関係ではない可能性があると指摘。その上で、少なくとも「慢性で重症のアルコール依存症男性に対しては、ナルトレキソンの効果は認められない」とし、こうした患者に対する同薬の処方は勧められないとした。

 この論文のタイトルは、「Naltrexone in the Treatment of Alcohol Dependence」。アブストラクトは、こちらまで。
http://content.nejm.org/cgi/content/short/345/24/1734
断酒に貢献 全国大会表彰 朝日の高橋好道さん
http://www.map-color.co.jp/times_news/archives/8142.html
2011.11.13 (日)
 NPO法人長野県断酒連合会の前理事長で、アルプス断酒会の名誉会長・高橋好道さん(81)=朝日村西洗馬=がこのほど、第59回精神保健福祉全国大会で日本精神保健福祉連盟会長表彰を受けた。地域の断酒会の中心となって、長年尽力してきた功績が認められた。高橋さんは受賞の喜びをかみしめ、支えてくれた関係者に感謝の思いを新たにしている。

スポンシー共々、お世話になっております。

女性のアルコール依存症、脳へのダメージは男性より3倍早い
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2839902/8058211魚拓

2011年11月10日 17:25 発信地:ストックホルム/スウェーデン

【11月10日 AFP】女性のアルコール依存症者の脳へのダメージは、男性に比べて3倍早く進むとの研究結果を9日、スウェーデンの研究チームが発表した。

 アルコール依存が進むと、特にセロトニンと呼ばれる脳内神経伝達物質が減少する。セロトニンは抑うつ状態・慢性不安の進行や治療の鍵となる物質で、衝動の制御や入眠・覚醒を調整する能力もコントロールしている。そのため、気分や衝動、睡眠などに影響が出る。

 スウェーデンのイエーテボリ大学(Gothenburg University)心理学部と、サールグレンスカ・アカデミー(Sahlgrenska Academy)の名で知られる同大保健科学部の共同チームは、アルコール依存症だと自認する42人(うち3分の2は女性)と健常対象者28人の脳機能を研究した。すると、アルコールの過剰摂取を4年間続けた女性の脳内では、セロトニンの機能が半減していたが、男性で同程度の影響が出るまでには12年間かかっていた。

 実験に参加したアルコール依存症の女性たちは、平均して週にワイン12本分に相当するアルコール飲料を4年間飲み続けていた。一方、男性の参加者が飲んでいたアルコール量も同等だったが、現在の依存状態になるまでに12年かかっていた。セロトニンの機能に起こっている障害については、両者で違いは見られなかった。

 研究を行ったクリスティナ・ベルグルンド(Kristina Berglund)氏は「機能障害は、女性のほうがずっと早く進んでいる」と指摘した。

 この結果は、アルコール依存症に関する医学誌「Alcoholism: Clinical and Experimental Research」2012年1月号に掲載される予定だが、ベルグルンド氏は「アルコール依存症者でセロトニンの機能が低下することは驚きではないが、脳内でさえ、女性のほうがずっと傷つきやすいことが分かり、驚いている」と語った。

 ただし、サールグレンスカ・アカデミーの研究者の1人、ウルフ・ベルグレン(Ulf Berggren)氏は、時間的には違いはあるものの、男性の依存症患者もいずれはセロトニンの機能に女性と同程度の障害をきたすと警告している。また、セロトニンの機能に起きる著しい障害とアルコールの過剰摂取に関連があることは分かったが、障害がもたらす心理的影響についてもさらに研究する必要があると述べた。(c)AFP
「一部執行猶予」導入へ...薬物使用、更生に重点
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20111030-OYT1T00860.htm

 犯罪を犯した人に懲役や禁錮刑の一部を執行後、残りの期間を猶予する「一部執行猶予制度」の導入を柱とした刑法等改正案など関連法案の全容が30日、明らかになった。

 再犯率の高い薬物使用者の再犯防止に向けた更生保護に重点を置き、薬物依存からの脱却に向けた医療の受診や専門プログラムの受講などを義務づける規定を設ける。

 政府は、関連法案を11月上旬にも閣議決定し、今国会に提出する。成立後、2~3年間の準備期間を経て施行する予定。

 一部執行猶予は、現行の実刑と執行猶予の"中間刑"として導入され、罪が比較的軽い3年以下の懲役・禁錮の判決を受ける者が対象となる。例えば、裁判所は「懲役2年、うち6か月を2年間の保護観察付きの執行猶予とする」といった判決が出せるようになる。
(2011年10月31日03時02分  読売新聞)
社会福祉士の上級民間資格を創設- 関連団体、来年度から認定
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/35870.html

 日本社会福祉士会など関連団体は、実践能力の高い社会福祉士の上級民間資格「認定社会福祉士」を創設した。社会福祉士の能力を担保し、キャリアアップを支援することなどが狙い。日本社会福祉士会など7団体でつくる「認定社会福祉士認証・認定機構」(橋本正明・運営委員長)が、来年度から認定を開始する。

 機構が認定する資格は、認定社会福祉士と、その上の「認定上級社会福祉士」の2つ。
 認定社会福祉士は、相談援助業務を手掛けるリーダー的な人材を主な対象とする資格で、高齢、障害、医療といった分野ごとに認定する。取得要件は、▽社会福祉士資格を保有する▽5年以上の実務経験がある▽ソーシャルワーカーに関する職能団体の正会員である▽機構が認める研修を受講している―など。
 一方、認定上級社会福祉士は、職場だけでなく、地域や関係機関とも協働している人を対象としたさらに上級の資格。取得要件として、▽認定社会福祉士資格を保有する▽認定社会福祉士資格取得後5年以上の実務経験がある▽基準を満たした論文発表や学会発表の経験がある▽機構が認める研修を受講している―などを満たした上で、試験に合格する必要がある。
 質を担保するため、両資格は5年ごとの更新制を採用する。

 橋本運営委員長はキャリアブレインの取材に対し、認定社会福祉士制度の意義について、「専門性が明確になり、仕事に対するモチベーションの向上や、キャリアアップ、独立などにつながるのではないか」と述べた。

関連記事
社会福祉士国試の合格率28.1% - 精神保健福祉士は58.3%
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/33031.html

毎年一万人以上の社会福祉士が誕生する中で、差別化が必要になってきたのでしょうか。
増える高齢者のアルコール依存 定年前から要注意
2011/9/29付
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A96889DE1E7E3E4E7E3E2E2E0EAE2EBE0E2E3E39C9C8182E2E3;p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E3E2E3魚拓
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A96889DE1E7E3E4E7E3E2E2E0EAE2EBE0E2E3E39C9C8182E2E3;df=2;p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E3E2E3魚拓
http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A96889DE1E7E3E4E7E3E2E2E0EAE2EBE0E2E3E39C9C8182E2E3;df=3;p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E3E2E3魚拓

 中高年のアルコール依存問題が深刻化している。団塊の世代を中心とした大量退職の時代を迎え、増加している高齢の依存症患者は認知症や心疾患などを併発し、病状が重くなる場合も多い。他方、働き盛り世代の自殺の背景としてアルコール問題が指摘され始めている。精神疾患や依存症の専門家らからは「老後の生き方も見据えた総合的な対策が必要だ」との声もあがる。

 大手商社に勤めていた東京都世田谷区の大槻元さん(66)は若い頃から酒量は多かったが、海外赴任中に度を越すようになり、帰国後は30代で「出勤前にも一杯ひっかけるようになった」。課長になり責任も重くなった40代に依存が本格的に。酒なしでは落ち着かなかったり脂汗が出たりし、下痢や嘔吐(おうと)など様々な症状が表れた。

 上司の指示で通院したものの、担当の精神科医は依存症は専門外。結局1カ月入院し断酒しただけで、その後も同じことを繰り返し「これ以上はいられない」と47歳で会社を辞めざるを得なかった。退職後に全日本断酒連盟に入り、現在は事務局長を務める。

全体の20%以上に

 断酒連では近年、60歳を過ぎた患者が門をたたく例が増えている。断酒連全体の会員数は減少傾向にあるが、60歳以上でみると2011年は2009人と10年前から400人増、構成比は14.5%から22.6%に跳ね上がった。厚生労働省の患者調査からも同様の傾向がみてとれる。

 アルコール関連問題専門施設の久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)でも、65歳以上の高齢患者は増加しており、同センターの松下幸生副院長は「高齢者は同じ飲酒量でも、他の年代に比べ血中アルコール濃度が高くなる傾向があり、アルコールには弱い」と指摘。認知障害や集中力低下が1週間以上続いたり、高血圧や心疾患など身体疾患や認知症を併発したりして、家族が困った末に入院となるケースもほかの年代に比べ多いという。

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断酒連が開く例会では、参加者が自身の酒害体験や断酒状況などについて話し合う

「薬より断酒」基本

 依存症の治療として代表的なのは、アルコールの害を学ぶ「酒害教育」や、患者同士でグループを作り他の患者の話を聞く「集団精神療法」。同センターでも、まずこれらを行い、加えて断酒会に参加させて断酒をさせている。

 認知症が深刻な高齢者らでは、グループホームなどへの入所も検討。患者に酒を買う金を持たせないことや、家に酒を置かないことなど、「家族への教育も不可欠」(松下副院長)という。

 また「近年は断酒だけでなく、節酒を目標とした治療法も研究が進んでいる」と東京アルコール医療総合センター(東京・板橋)の垣渕洋一医師。節酒の指導と、依存症の一因とされる脳内伝達物質ドーパミンの異常を治し飲酒欲求を抑える飲酒抑制薬とを組み合わせた方法だ。

 徐々に臨床現場で使われ始め、新薬も開発途上にある。ただ、こうした薬も飲酒欲求をゼロにできないので、節酒を目標にできるのは軽度の依存症に限られる。垣渕医師は「ほとんどの人は断酒による治療が基本」と強調する。

 こうした治療はあくまでアルコール依存症を発症した後の対応。そもそも高齢者が発症する場合、「定年後に特にやることがなく、朝から酒を飲みはじめたり、家族に隠れて飲んだりする場合が多い」と、依存症患者の相談を受ける特定非営利活動法人(NPO法人)「アルコール薬物問題全国市民協会(ASK)」の今成知美代表は話す。

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飲酒による精神・行動傷害の入院患者数(推計)

自殺との関連も

 さらに、こうした60歳以上の患者のほとんどは「現役時代から依存症の素地が作られている」(大槻事務局長)という。"付き合い"の飲酒が10~20年と続いて依存症に発展するケースが多い、定年前の働き盛りの頃から予防策を講じる重要性を強調する。

 ここ数年は働き盛り世代の自殺とアルコール問題の関連も注目されており、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所が09年に行った調査では、自殺した有職者のうち3分の1強にアルコール依存傾向がみられ、多くは40~50代の働き盛りの男性だった。今成代表は「大量退職の時代を迎えた今、現役時代から退職後の生きがいや趣味を見つけ、酒に頼らない生き方を見つける取り組みが必要だ」と訴えている。
(八十島綾平、松尾洋平)


◇            ◇


酵素の型の違いが影響 「遺伝6割、環境4割」

 酒の強さは体質――。とはよくいわれるが、確かにアルコール依存症のなりやすさは、アルコールを分解する酵素の遺伝子型の違いが影響しているとされる。アルコールを有害なアセトアルデヒドに変える「アルコール脱水素酵素(ADH1B)」と、アセトアルデヒドを無害な酢酸に変える「アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)」だ。

 どちらの酵素にも3種類の型があり、ADH1Bは分解速度が「速い/普通/遅い」型、ALDH2は酢酸に変える機能が「よく働く/普通に働く/全く働かない」型に分けられる。

 これまでの臨床や研究で、最も依存症になりやすいとされるのは、ADH1Bが「遅い」型でALDH2が「よく働く」型の人だ。メカニズムは未解明だが、アセトアルデヒドの発生が遅く、発生すれば素早く無害にするので、多量に飲んでも気持ち悪くならずアルコールが長時間分解されないまま体内に残るタイプ。次いで2つの酵素とも「普通」が要注意だ。

 久里浜アルコール症センターの松下副院長は「依存症に遺伝が関係しているのは確か」とする一方で、「未解明の部分も多い」と話す。近年は、依存症への影響は「遺伝が6割、環境が4割」とも考えられており、松下副院長は「生育歴など周囲の環境も含めて対策を考える必要がある」と話している。

[日本経済新聞夕刊2011年9月29日付]

幼い頃の飲酒経験、アルコール依存度を高める!
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=2&ai_id=137735魚拓

2011/09/11(Sun) 09:27
飲酒の経験が早ければ早いほど、アルコール依存症の危険が高くなるという調査結果が出た。
 ある大学病院がアルコール依存治療センターで、患者に初めて飲酒した時期を尋ねると、半分近くの患者が15才以前だったと答えた。10才以前だったという回答も13.7%もあった。
 このように幼い頃に何気なく酒を飲んだ経験が、後日アルコール依存症につながる例が多いことが分かった。

ドーパミン、利益予測に関与=依存症の解明に期待―玉川大
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201109060005.html魚拓

2011年9月6日6時6分

  快感などの情動に関与する神経伝達物質ドーパミンを分泌する細胞が、目先の快感や利益だけでなく、将来予測される利益によっても反応することが、玉川大脳科学研究所の木村実所長らのグループの研究で分かった。6日付の米科学アカデミー紀要電子版に掲載される。

  ドーパミンが長期的な予測と関連し、意思や行動の決定にも影響していることが予想され、木村所長は「ドーパミン分泌に異常がみられる薬物やギャンブルなどの依存症のメカニズム解明につながるかもしれない」としている。

  グループは3個のうち1個だけジュースが出るボタンを用意し、ニホンザルに繰り返し押させた。1度目でジュースを得られる確率は3分の1、2度目の場合は2分の1、3度目では100%で、ドーパミン細胞は目先の利益が得られる確率が上がるほど、強い反応を示した。

  一方、学習したサルがジュースのボタンを押した後、同じボタンで3回続けてジュースを得られるようにした場合、ドーパミン細胞は2回目、3回目となるにつれて活性が下がっていった。ボタンの選択が必要なく、得られるジュースの量が1回目で予測できるためとみられる。
「依存症からの脱却」テーマにセミナー 長野
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110920/ngn11092002010000-n1.htm魚拓
2011.9.20 02:01

 「第2回信州アディクションセミナー」が25日午前10時から松本市のあがたの森文化会館で開かれる。アルコール、薬物、ギャンブル、過食、性依存、引きこもりなどの問題に悩んだ経験を持つ自助グループのメンバーが一堂に集まってそれぞれの問題解決に至るまでの経験を分かち合うのが目的だ。依存症の専門家である国立精神・神経医療研究センターに勤務する松本俊彦氏が「若者の飲酒の背景にあるもの~『故意に自分の健康を害する』症候群~」をテーマに講演する。

 このほか、自助グループによる体験発表会なども行われる。入場は無料。問い合わせ先は「信州アディクションセミナー実行委員会事務局」

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