心の家路

気づき
Become aware

ホーム|アルコール依存症という病気|自助グループのススメ|このサイトの紹介|体験記|個人的見解|ブログ
日々雑記&NEWS|掲示板|道具90|書庫・資料置き場|リンク集|ご意見・お問い合わせ

ホーム > 自助グループのススメ > 気づき

2004/05/11 

<経験の分かち合い>

<気づき>

ミヒャエル・エンデという作家の作品で『モモ』という児童小説があります。
小さな浮浪児のモモは古い廃墟に住んでいます。人々は悩み事があると小さなモモのところへ行って話を聞いてもらいます。モモはただ聞くだけです。何かを言ったり、質問をするわけでもなくただ人の話を聞いているだけです。
でもモモは「本当に聞くこと」のできる素晴らしい才能を持っているのです。
モモに話を聞いてもらっていると、どうしていいか分からなかった人にも、頭がぼんやりした人にも、自分がどうすればいいのか、しっかりした考えが浮かんできます。

たとえばこう考えている人がいたとします。おれの人生は失敗で、何の意味もない、おれは何千万人もの人間の中のケチな一人で、死んだところでこわれたつぼとおんなじだ、べつのつぼがすぐにおれの場所をふさぐだけさ、生きていようと死んでしまおうと、どうってちがいはありゃしない。この人がモモのところへ出かけていって、その考えをうちあけたとします。するとしゃべっているうちに、ふしぎなことにじぶんがまちがっていたことがわかってくるのです。いや、おれはおれなんだ、世界じゅうの人間の中で、おれという人間はひとりしかいない、だからおれはおれなりに、この世の中でたいせつな存在なんだ。

こんなふうにモモは人の話が聞けたのです!

ミヒャエル・エンデ作『モモ』(岩波書店・大島かおり訳)

本当にモモのような人がいたら、どんなに素晴らしいことでしょう。でも、残念ながらモモは童話の中の存在です。

AAなどの12ステップグループは、「言いっぱなし、聞きっぱなし」と呼ばれる仕組みで進行します。順番に自分の話しをするだけで、お互いに意見を言ったり、質問したりはしません。ただ自分の番がきたらしゃべり、他の人の番の時は黙って聞くだけです。
言ってみれば自助グループは、「皆がかわりばんこに『モモ』の役を演じる」という集まりなのかもしれません。

「昨日の晩は家内を殴ってしまった」という告白があったとしても、ミーティングでは誰もそれを責めもしなければ裁きもしないでしょう。そんなことをしなくても、本人は「これからどうすればいいか」は分かっているはずです。ただ、どうすればいいのか「気づいていない」だけなのです。

答えはいつも自分の心の中にあります。でも人間は時に、自分でその答えを見つける能力を失ってしまうのです。そんなときに自助グループはモモの代役となって、気づきを与えてくれるのです。

現実の私たちは、モモのような特別の才能を持っているわけじゃありません。ですから、気づきを与えられるには、たくさんのミーティングが必要な場合もあります。それでも、多くの人は「ミーティングに行く前よりも、ミーティングの帰りのほうが、心が軽くなった」という経験をしています。家族の方も「行く前よりも、帰ってきたときのほうが機嫌がいい」という経験をされるようです。

自助グループは「気づき」を与えてくれる存在なのです。

<違い探し>