======魂の家族を求めて====== |書名|**魂の家族を求めて**|| |副題|私のセルフヘルプ・グループ論 || |原著者|斎藤 学|{{:books:tamashii-no-kazoku.jpg?nolink|魂の家族を求めて}}| |出版年|1998|:::| |ISBN|4-09-402711-4|:::| |出版社|小学館|:::| |備考|単行本は1996年6月に日本評論社より出版|:::| ====解説====
 ナバに集まる女性たちをとらえていた孤独の痛みと同種のものを私はすでに他のアデイクト(嗜癖者)から聞いていた。たとえば、私が若い頃から接していたアルコホリック(アルコール依存症者)たちは、「素面の自己」に立ち戻ったところで、同じ痛みを私に語った。この痛みの本質を知り、その癒しを模索することは、アルコール依存症の治療に専念していた頃の私にとって何よりも大切なことだった。\\  この動機が私をセルフヘルプ(自助)・グループへの関心に導いたと思う。それは家族の温もりの中で厳しい寂しさに直面した人びとが、どのようにアルコール、ドラッグ、食物、ギャンブル、買い物、宗教、セックス、仕事などの嗜癖に溺れ、そこから立ち直るかを知ることだった。\\  それは同時に、嗜癖に溺れ切れない人びとが、「生きるのが怖い」という思いを持て余しつつ、どのように生き、そこから立ち直るかを知ることでもあつた。そういうわけで私の自助グループ論は私の家族論と切り離せない。\\  こうして私は嗜癖を対象としたいくつかの自助グループを知った。必要とされながら未だ日本に定着していなかったいくつかの自助グループが立ち上がり、育つのを「砂かぶり」で見つづけている。この本はそうした私の探索と経験を“ひとまず”まとめたものである。\\  これのもとになったのは雑誌“こころの科学”(日本評論社)に、一九九二年四月から一九九四年一一月までの二年半、一六回にわたって連載した「こころとセルフへルプ・グループ」という著述である。文庫版前書き pp.5-6